中原中也記念館特別企画展「中也とランボー、ヴェルレーヌ」連携上映
ジャン・ユスターシュ映画祭
映画史に残る傑作「ママと娼婦」で、一躍時代の寵児となったフランスの映画監督、ジャン・ユスターシュ。
しかし度重なる奇行、自己破壊的な行動が影響してか、その後、ランボーの詩から題名をつけた長編「ぼくの小さな恋人たち」とわずかな中・短編を手がけただけで、1981年、42歳にして拳銃自殺を遂げた。
今年、4Kデジタルリマスターで甦った「ママと娼婦」がパリ、ニューヨークをはじめ各地で上映され、その痛ましいまでの美しさに世界は再び驚愕した。
そしてほとんど彼の作品を観ることができなかったわが国でも、謎に包まれた全貌がついに明らかになる。
上映作品4作品
作品上映
わるい仲間
Du côté de Robinson
作品上映
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わるい仲間
Du côté de Robinson
ユスターシュの妻ジャネット・ドゥロにふりかかった災難(ユスターシュと喧嘩して街へ出たドゥロに、二人組の無骨者がつきまとって彼女を困らせた)に基づいて構想された作品。当時ドゥロが秘書として働いていた、カイエ・デュ・シネマ誌のオフィスにある金庫から盗んだカネを使って撮られたとの伝説がある。主人公はタフガイ気取りで品位を欠く、自堕落な生活を送る若者二人組だ。彼らは街をぶらぶらするうちに知り合った女性を口説こうとするが、なびいてこないので腹いせに彼女の財布を盗む。ヌーヴェル・ヴァーグ映画的な街なかでのゲリラ撮影を活用しながらも、ここでのパリは生きづらい寒々しく退屈な街へと変貌しており、登場人物の「リアルな」描出ともども新世代作家の台頭を印象づける。
1963年/フランス/白黒/39分/配給:コピアポア・フィルム
監督・脚本・編集:ユスターシュ
撮影:ミシェル・H・ロベール、フィリップ・テオディエール
音楽:セザール・ガッテーニョ
出演:アリスティド・ドメニコ、ダニエル・バール、ドミニク・ジェール
作品上映
サンタクロースの眼は青い
Le Père Noël a les yeux bleus
作品上映
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サンタクロースの眼は青い
Le Père Noël a les yeux bleus
『ママと娼婦』『ぼくの小さな恋人たち』と併せて、ユスターシュの自伝的三部作を形成する一本。ゴダール提供による『男性・女性』(66)の未使用フィルムを使って撮られた。主演も『男性・女性』のレオー。舞台となるのは、クリスマス・シーズンの仏南西部ナルボンヌ。貧しい青年ダニエルは、モテるためのダッフルコート欲しさにサンタクロースの扮装をして街角に立ち、写真撮影のモデルを務める仕事を引き受ける。やがて彼は、変装した方がナンパに好都合であることに気づくが……ヴォイスオーヴァーを活用して定職のない若者の冴えない日々を描きつつ、やがて彼の滑稽な日常が悲哀へと、期待が幻滅へと転調する語り口が絶妙。ナルボンヌ生まれの国民的歌手シャルル・トレネに捧げられている。
1966年/フランス/白黒/47分/配給:コピアポア・フィルム
監督・脚本:ユスターシュ
撮影:フィリップ・テオディエール
編集:クリスチアーヌ・ラック、ユスターシュ
音楽:ルネ・コル、セザール・ガッテーニョ
出演:ジャン゠ピエール・レオー、ジェラール・ジメルマン、ルネ・ジルソン
作品上映
ママと娼婦
La Maman et la putain
作品上映
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ママと娼婦
La Maman et la putain
ユスターシュにとって最初の長編映画である本作は、四時間近い破格の上映時間を通じて、やはり作家の私的経験に基づいた物語を綴っていく。その物語とは、72年のパリを舞台に、五月革命の記憶を引きずる無職の若者アレクサンドルと彼の年上の恋人マリー、前者がカフェで知り合った性に奔放な20代の看護師ヴェロニカの奇妙な三角関係を描いたものだ。ユスターシュは、当時破局を迎えたばかりだったルブラン(ヴェロニカ役を演じている)をはじめ、自身と複数の女性との関係に基づいて脚本を執筆した。完成作はカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを獲得。男女の性的関係が台詞も含めて赤裸々に描かれた本作はスキャンダルをも巻き起こしたが、今や映画史上の傑作の一本として不動の地位を築いている。
1973年/フランス/白黒/215分/配給:コピアポア・フィルム
監督・脚本:ユスターシュ
撮影:ピエール・ロム、ジャック・ルナール、ミシェル・セネ
編集:ドゥニーズ・ド・カサビアンカ、ユスターシュ
出演:ベルナデット・ラフォン、ジャン゠ピエール・レオー、フランソワーズ・ルブラン
作品上映
ぼくの小さな恋人たち
Mes petites amoureuses
作品上映
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ぼくの小さな恋人たち
Mes petites amoureuses
二本目にして最後の長編監督作。題名はランボーの同名の詩から採られている。ペサックで心優しい祖母と二人暮らしをしていた13歳の少年ダニエルが、やがて母が継父と住むナルボンヌに移住し、経済事情から学業を諦めて二輪車販売・修理店で見習いとなる物語には、ユスターシュの少年時代の記憶が多分に投影された。作家によれば、「自分の映画はどれも最初から社会ののけ者の中に身を置く」一方、本作だけは「ある子どもの、普通の生活から脱落者の境遇への移行」を描いている。主題の一つは、聖体拝領の日に初めて異性を意識した経験に始まる、ダニエルの性的な成長だ。半ば様式的な演出が施されたこの寡黙な映画は、繊細なカラー撮影と相まってユスターシュ作品中例外的な輝きを放ち続けている。
1974年/フランス/カラー/123分/配給:コピアポア・フィルム
監督・脚本:ユスターシュ
撮影:ネストール・アルメンドロス
編集:フランソワーズ・ベルヴィル、ユスターシュ
出演:マルタン・ローブ、イングリット・カーフェン、ジャクリーヌ・デュフレンヌ
上映/イベントスケジュール
上映期間:2024年9月7日(土)、8日(日)
日付 | 時間 |
上映作品 イベント |
9月7日(土) | 12:05〜12:44 |
わるい仲間 |
9月7日(土) | 13:05〜13:52 |
サンタクロースの眼は青い |
9月7日(土) | 14:15〜17:50 |
ママと娼婦 |
9月7日(土) | 18:15〜20:18 |
ぼくの小さな恋人たち |
9月8日(日) | 12:05〜15:40 |
ママと娼婦 |
9月8日(日) | 16:05〜18:08 |
ぼくの小さな恋人たち |
9月8日(日) | 18:30〜19:09 |
わるい仲間 |
9月8日(日) | 19:30〜20:17 |
サンタクロースの眼は青い |
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チケット情報
料金
当日
- 一般
- 1,300円
- any会員
- 800円
- 特別割引
- 800円
- 25歳以下
- 800円
備考
チケットは当日券のみ。館内2階・スタジオC受付にてご購入ください。
特別割引は、シニア(65歳以上)と障がい者および同行の介助者が対象となります。
基本情報
上映期間 |
2024年9月7日(土)、8日(日) |
上映作品 | 4作品 |
チケット情報 | 有料 |