岡本喜八監督特集—映画(シャシン)に刻まれた律動(リズム)
映画初期、映画は活動写真と呼ばれ、映画の創り手を活動屋と呼んだ。戦後の日本映画文化向上に大いに貢献し、自らを活動屋と呼んだ岡本喜八。生涯、監督した映画(シャシン)は39本。
1941年、17才で上京し、岡本喜八は活動写真に魅せられた。近づく戦争の足音に追い立てられるように1本でも多く見ようと、映画館に通い詰め、フランス喜劇、アメリカ活劇にのめり込んだ。その後、召集されたことも映画製作に大きく影響した。
監督デビュー作はラブコメディ、続いてギャングもの、メロドラマに時代劇、そして戦争映画……。ジャンルを問わず面白い映画を追求し、その全てに刻んだ独自の律動(リズム)—多彩な映画音楽、息づかい、鼓動、アクション。変化球監督と呼ばれ、時に敬遠されながらも、映画(シャシン)に刻む律動(リズム)は崩さなかった。そのセンセーショナルな律動(リズム)は、現代もなお、観るものの記憶に鮮烈に刻まれ続けている。
岡本喜八(おかもと・きはち)
1924年、鳥取県生まれ。明治大学卒業後、1943年に東宝入社。助監督となるが、映画界に入ってすぐに召集される。終戦後は映画界に復帰し、東宝でマキノ雅弘や成瀬巳喜男監督の助監督を10年務める。『独立愚連隊』の脚本が認められ、『結婚のすべて』(58年)で監督デビューを果たす。自ら脚本を書いた『独立愚連隊』(59年)がきっかけで、一躍若手監督の注目株となり、人気シリーズとなる。その後も『江分利満氏の優雅な生活』(63年)『ああ爆弾』(64年)、大ヒット作となった『日本のいちばん長い日』(67年)などを監督する。喜劇から戦争映画まで独自の視点で幅広く描き、映画界を代表する監督となる。1989年青年紫綬褒章受章。1995年勲四等旭日小受章。2001年の「助太刀屋助六」を最期に2005年2月19日、食道がんのため死去。次回作「幻灯辻馬車」の準備中であった。
上映作品12作品
作品上映
独立愚連隊
作品上映
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独立愚連隊
第二次世界大戦も末期、戦線の山岳地帯に、各隊のクズばかり集めて作った警備隊、その名も独立愚連隊と呼ばれる小隊があった。そこへ従軍記者・荒木と名乗る男がやって来る。荒木の意図とは?そして独立愚連隊の運命やいかに!?西部劇のような快活なタッチで綴る戦争アクション映画の金字塔的傑作!人気シリーズ第一弾。
1959年/108分/モノクロ/シネスコ/東宝
脚本:岡本喜八
音楽:佐藤勝
出演:佐藤充、上村幸之、中谷一郎、三船敏郎、中丸忠雄、鶴田浩二、雪村いづみ、塩沢とき、ミッキー・カーチス
作品上映
肉弾
作品上映
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肉弾
1945年、広島と長崎に原爆が落ち、敗戦が必至となった夏に“あいつ”は突然、特攻隊員に任命される。一日だけ外出を許された日、“あいつ”は久しぶりの町で色んなものを見る。戦争の愚かさとそれによって踏みにじられた青春への思いをコミカルなタッチでありながら痛切に描く戦争ドラマ。岡本喜八の原点とも言える作品。
1968年/117分/モノクロ/スタンダード/ATG
脚本:岡本喜八
音楽:佐藤勝
出演:寺田農、大谷直子、天本英世、三橋規子、今福正雄、笠智衆、北林谷栄、小沢昭一、菅井きん、田中邦衛、仲代達矢
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江分利満氏の優雅な生活
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江分利満氏の優雅な生活
昭和30年代後半、大手洋酒メーカー勤務のサラリーマン江分利満は、何をやっても面白くない退屈な日々が続く中、ふとしたことで小説を書くことになる。戦争のこと、妻子のこと、そして自分の人生を綴ったその作品は評判を呼び、ついには直木賞を受賞するがー。直木賞を受賞した山口瞳の同名小説を様々な映像技法を取り入れ映画化したヒューマンドラマ。
1963年/102分/モノクロ/シネスコ/東宝
脚本:井出俊郎
音楽:佐藤勝
出演:小林桂樹、新珠三千代、横山道代、東野英治郎、中丸忠雄、ジェリー伊藤、松村達雄、矢内茂
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日本のいちばん長い日
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日本のいちばん長い日
昭和20年8月14日正午。皇居内では御前会議が開催され、ポツダム宣言受諾をめぐり陸軍省と政府は対立し、徹底抗戦を主張する青年将校たちは天皇陛下による玉音盤を奪還しようと画策していたー。大宅壮一の元軍人や政治家への取材によるノンフィクション原作をもとに、波乱と激動の終戦の一日を描いた迫真の戦争ドラマ巨編。
1967年/158分/モノクロ/シネスコ/東宝
脚本:橋本忍
音楽:佐藤勝
出演:三船敏郎、笠智衆、黒沢年男、高橋悦史、中丸忠雄、山村聡、宮口精二、戸浦六宏、志村喬
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戦国野郎
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戦国野郎
時は永禄四年、戦国の世が続いていた。武田勢の冷酷な仕打ちに愛想をつかした若き忍者・吉丹は抜け忍となり、一国一城の主の夢を抱き諸国をさまよっていた。吉丹は武田の差し向けた忍者と対決しながら旅をする道中で木下藤吉郎、のちの豊臣秀吉と出会い、彼の筋書き通りに馬借隊に入って身を隠す。岡本監督初の忍者アクション時代劇。
1963年/98分/モノクロ/シネスコ/東宝
脚本:佐藤健、岡本喜八、関沢新一
音楽:佐藤勝
出演:加山雄三、中谷一郎、佐藤充、長谷川弘、田崎潤、星由里子、中丸忠雄、水野久美、滝恵一、天本英世
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斬る
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斬る
江戸時代の上州に、武士を捨てた弥源太と、百姓をやめ武士になろうとする半次郎が現れる。藩主の圧政に不満を抱く七人の青年武士が家老を斬り砦山にこもっていた。そこにぶらりと現れた剣豪ふたり➖仲代達矢と高橋悦史が、悪道・非道をばっさばっさと斬りまくる!山本周五郎の短編小説をもとに脚本化した痛快時代劇。
1968年/115分/モノクロ/シネスコ/東宝
脚本:岡本喜八、村尾昭
音楽:佐藤勝
出演:仲代達矢、高橋悦史、神山茂、東野英治郎、中村敦夫、久保明、中丸忠雄、橋爪功、地井武男
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座頭市と用心棒
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座頭市と用心棒
市が三年前に訪れた平和な村は、今ではヤクザの小仏一家によって変わってしまっていた。市の来訪を知った小仏の松五郎は、一家の用心棒に市を斬るよう頼み込む。酒に酔ったまま市を斬りに行った用心棒は市がただ者ではないと悟ると、酒に誘い、二人は意気投合してしまう…。二大スター夢の対決によってシリーズ最大のヒットとなった作品。
1970年/116分/カラー/シネスコ/東宝
脚本:岡本喜八、吉田哲郎
音楽:伊福部昭
出演:勝新太郎、三船敏郎、若尾文子、米倉斉加年、岸田森、神山繁、細川俊之、嵐寛寿郎、寺田農
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ダイナマイトどんどん
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ダイナマイトどんどん
昭和25年、終戦直後。北九州・小倉では、昔気質の岡源組と新興ヤクザの橋伝組の抗争がエスカレートしていた。この問題を解決するため、警察署長の提案で抗争に代えてヤクザ対抗野球大会が開かれることになる。平和的な試合のはずが両軍選手は次々負傷していく。ヤクザ映画に出演する面々が勢ぞろいした、傑作喜劇。
1978年/142分/カラー/ビスタ/東映=大映
脚本:井出雅人、古田求
音楽:佐藤勝
出演:菅原文太、宮下順子、北大路欣也、嵐寛寿郎、金子信雄、岸田森、中谷一郎、フランキー堺、藤岡琢磨
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暗黒街の対決
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暗黒街の対決
大岡組と小塚組がしのぎを削る暴力都市・荒神市に、東京から左遷させられた札付きの汚職警官・藤丘がやって来る。砂利採取権を巡って争う二つの組に接触した藤丘は、それぞれに協力を約束する。実は藤丘こそ暴力団対策のスペシャリストであり、双方の組をつぶすためにこの町に派遣されたのだった。大藪春彦の「血の罠」をもとにしたハードボイルド作品。
1960年/95分/カラー/シネスコ/東宝
脚本:関沢新一
音楽:佐藤勝
出演:三船敏郎、鶴田浩二、司葉子、河津清三郎、中丸忠雄、堺佐千夫、田崎潤、佐藤充、天本英世
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殺人狂時代
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殺人狂時代
犯罪心理学者・桔梗信治は、精神科医・溝呂木博士率いる人口調節のために無駄な人間を抹殺する“大日本人口調節審議会”の殺し屋たちに命を狙われるはめに。しかし悪運が強いのか偶然か、桔梗は彼らをことごとく撃退し、やがて自分の身体に隠された秘密を知ることになる。13人の殺し屋と一人の男の戦いを描く超異色アクション。原作は都筑道夫の『飢えた遺産』。
1967年/99分/モノクロ/シネスコ/東宝
脚本:小川英、山崎忠昭、岡本喜八
音楽:佐藤勝
出演:仲代達矢、団令子、砂塚秀夫、天本英世、滝恵一、富永美沙子、久野征四郎、小川安三、江原達怡
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結婚のすべて
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結婚のすべて
康子は姉・啓子夫婦のような見合い結婚ではなく、恋愛結婚を夢見ている。賢くハツラツとした姉の相手として大学教授である義兄がつまらなく見えるのだ。ある日、康子はバーテンをやっている大学生の浩に出会い、恋心を抱くが…。当時アイドルスターだった雪村いずみを主演にしたモダンな恋愛映画。岡本喜八の監督デビュー作品。
1958年/85分/モノクロ/スタンダード/東宝
脚本:白坂依志夫
音楽:馬渡誠一
出演:雪村いづみ、新珠三千代、上原謙、小川虎之助、山田真二、三橋達也、仲代達矢、加藤春哉、柳川慶子
作品上映
ああ爆弾
作品上映
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ああ爆弾
昔気質のヤクザの組長・大名大作が3年ぶりに出所し自分のシマに戻ると、俗界の様子は一変して、大名組は今や市議会議員に立候補する矢東にのっとられていた。怒りに燃える大作は子分の太郎に万年筆型の爆弾を作らせ、矢東を爆殺する計画を立てるが・・・。コーネル・ウールリッチの「万年筆」を原作に、ミュージカルコメディタッチで描いたカルト的人気作品。
1964年/95分/モノクロ/シネスコ/東宝
脚本:岡本喜八
音楽:佐藤勝
出演:伊藤雄之助、越路吹雪、砂塚秀夫、高橋正、中谷一郎、沢村いき雄、本間文子、重山規子
開催イベント
岡本みね子+岡本真実トークイベント
登壇者
岡本みね子
映画監督/プロデューサー
岡本真実
女優
上映/イベントスケジュール
上映期間:2019年10月3日(木)〜20日(日)
日付 | 時間 |
上映作品 イベント |
10月3日(木) | 11:00〜12:48 |
独立愚連隊 |
10月3日(木) | 13:30〜15:27 |
肉弾 |
10月4日(金) | 11:00〜12:42 |
江分利満氏の優雅な生活 |
10月4日(金) | 13:30〜16:08 |
日本のいちばん長い日 |
10月5日(土) | 13:30〜16:08 |
日本のいちばん長い日 |
10月5日(土) | 16:15〜17:15 |
山根貞男トークイベント 関連イベント |
10月6日(日) | 13:30〜15:12 |
江分利満氏の優雅な生活 |
10月6日(日) | 16:00〜17:57 |
肉弾 |
10月11日(金) | 11:00〜12:38 |
戦国野郎 |
10月11日(金) | 13:20〜15:15 |
斬る |
10月12日(土) | 13:30〜15:25 |
斬る |
10月12日(土) | 16:10〜17:58 |
独立愚連隊 |
10月13日(日) | 13:30〜15:08 |
戦国野郎 |
10月13日(日) | 15:10〜16:10 |
岡本みね子+岡本真実トークイベント 関連イベント |
10月13日(日) | 16:50〜18:46 |
座頭市と用心棒 |
10月14日(月) | 11:00〜12:56 |
座頭市と用心棒 |
10月14日(月) | 13:30〜15:52 |
ダイナマイトどんどん |
10月17日(木) | 11:00〜12:35 |
暗黒街の対決 |
10月17日(木) | 13:30〜15:09 |
殺人狂時代 |
10月18日(金) | 11:00〜12:25 |
結婚のすべて |
10月18日(金) | 13:30〜15:52 |
ダイナマイトどんどん |
10月18日(金) | 16:30〜18:05 |
ああ爆弾 |
10月19日(土) | 13:30〜15:05 |
ああ爆弾 |
10月19日(土) | 15:30〜17:09 |
殺人狂時代 |
10月20日(日) | 13:30〜15:05 |
暗黒街の対決 |
10月20日(日) | 17:30〜19:52 |
ダイナマイトどんどん |
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チケット情報
料金
1回券
当日
- 一般
- 1,000円
- any会員
- 800円
- 特別割引
- 800円
- 25歳以下
- 800円
3回券
当日
- 一般
- 2,400円
- any会員
- 1,800円
- 特別割引
- 1,800円
- 25歳以下
- 1,800円
備考
チケットは当日券のみ。館内2階・スタジオC受付にてご購入ください。
特別割引は、シニア(65歳以上)と障がい者および同行の介護者が対象となります。
基本情報
上映期間 |
2019年10月3日(木)〜20日(日) |
上映作品 | 12作品 |
関連イベント | 2イベント |
チケット情報 | 有料 |
クレジット |
主催:公益財団法人山口市文化振興財団 |