YCAM名画座vol.15
ルイス・ブニュエル監督特集
際限のない反復、停滞感、無力感、閉塞感。停止寸前の時間の中で、崩れゆく世界の輪郭。匂いたつエロティシズム。不可解の極みに誘う、壮麗かつ危険な映画。瀆神的で寓話的、放たれた悪意とユーモアが現実をあぶり出し、変質させる。異才ブニュエルの最も豊饒な時代に生み出された傑作、再臨!
ルイス・ブニュエル(Luis Buñuel)
1900年2月22日、スペインのテルエル県カランダに、7人兄妹の長男として生まれる。17年、マドリード大学に入学。この時期学寮生活で画家サルヴァドール・ダリや詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカら若き芸術家と出会う。
25年、パリに移住。フリッツ・ラングの『死滅の谷』(21)を観て映画監督を志し、パリの演劇学校に入学。同校でジャン・エプスタンと知り合い、エプスタン監督作に助手として就く。この時期、未来の妻ジャンヌ・ルカールと出会う。
29年、ダリとの脚本共作で16分の短編映画『アンダルシアの犬』を監督し、同年6月6日にパリで公開。続く30年には、初の長編映画『黄金時代』を発表。カトリック主義者や極右の激しい攻撃にさらされ、前作以上のスキャンダルを惹き起こした結果上映禁止処分を受けた。『黄金時代』公開直前にMGMの誘いでハリウッドに渡り、数ヶ月間滞在した後スペインに戻り、映画史上初の偽ドキュメンタリー映画と呼ばれる『糧なき土地』(33)を監督。貧困地域ラス・ウルデスの住民の状況を描いたこの作品は、「スペインの名誉を侮辱するもの」との口実で、36年までスペイン政府により上映禁止処分を受ける。
スペイン内戦(36年~39年)が始まったばかりの頃、再びパリに戻ってスペイン大使館で政府のプロパガンダ仲介任務に携わる。
46年、メキシコに渡る。49年10月20日にメキシコの市民権を獲得。『忘れられた人々』(50)は批評家に絶賛され、ブニュエルは一躍世界的に有名なスペイン語圏監督となる。残りの生涯はメキシコで暮らし、この地で20本の映画を監督するが、以後も一時的にフランスやスペインに滞在して映画を撮ることがあった。最後の作品『欲望のあいまいな対象』(77)を発表した後、映画監督を引退し自伝『映画、わが自由の幻想』(矢島翠訳、早川書房)を(ジャン=クロード・カリエールと共同で)執筆、82年に刊行。83年7月29日、メキシコ市の病院にて死去。
上映作品3作品
作品上映
ビリディアナ
VIRIDIANA
作品上映
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ビリディアナ
VIRIDIANA
ルイス・ブニュエルが20数年ぶりに祖国スペインで撮ったカンヌ映画祭パルム・ドール受賞作
修道女のビリディアナ。ただ一人の親族である叔父ドン・ハイメの邸宅を訪ねる。ドン・ハイメは彼女が亡妻の生き写しであると思い、共に暮らすよう求める。ある日、彼女に睡眠薬を飲ませ犯そうとするが、未遂に終わる。叔父は罪の意識から絶望し自殺してしまう。ビリディアナは尼僧への道を諦め、叔父ドン・ハイメの遺産を受け継ぐ。邸宅に貧しい人たちを住まわせ、世話をしようとするが...。カトリック教会から大きな非難を浴びるスキャンダルとなり、スペインやイタリアで上映禁止に至った問題作!
《1961年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞》
1961年/メキシコ=スペイン/92分/モノクロ
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、フリオ・アレハンドロ
撮影:ホセ・フェルナンデス・アグアヨ
編集:ペドロ・デル・レイ
美術:フランシスコ・カネ
製作:グスタボ・アラトリステ
出演:シルビア・ピナル、フェルナンド・レイ、フランシスコ・ラバル、マルガリータ・ロサノ、ロラ・ガオス 他
作品上映
皆殺しの天使
EL ANGEL EXTERMINADOR
作品上映
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皆殺しの天使
EL ANGEL EXTERMINADOR
ブルジョワジー、無限の停滞―。
オペラ観劇後に晩餐会が催された邸宅。20人のブルジョアが宴を楽しんでいる。夜が更け、やがて明け方になっても、誰も帰ろうとしない。次の夜が来ても、誰もが帰らない。皆、帰る方法を忘れたか、その気力も失われたかのように客間を出ることができないのだ。召使も去り、食料も水も底をつく。何日間にもわたる幽閉状態が続き、人々の道徳や倫理が崩壊していく。突如現われる羊や、歩き回る熊の姿。事態は異常な展開を見せていく…。
一層不条理に没入していくブニュエルの後期作品のさきがけともなった、〈メキシコ時代〉最大の問題作。真に謎めいて力強い、シュルレアリスム不条理劇の極点!
《1962年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞》
1962年/94分/メキシコ/モノクロ
監督:ルイス・ブニュエル
原案:ルイス・ブニュエル、ルイス・アルコリサ
脚色:ルイス・ブニュエル
撮影:ガブリエル・フィゲロア
音楽:ラウル・ラビスタ
製作:グスタボ・アラトリステ
出演:シルヴィア・ピナル、エンリケ・ランバル、ジャクリーヌ・アンデレ、ルシー・カリャルド、エンリケ・G・アルバレス 他
作品上映
アンダルシアの犬+砂漠のシモン 2作品上映
作品上映
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アンダルシアの犬+砂漠のシモン
作品上映
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アンダルシアの犬
UN CHIEN ANDALOU
1928年/フランス/17分/モノクロ/サイレント
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、サルバドール・ダリ
作品上映
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砂漠のシモン
SIMÓN DEL DESIERTO
歴史上実在した柱頭修行者「聖人シメオン」の伝説を描く。
砂漠にそびえ立つ柱の上で、レタスだけを食べ日々神に祈りを捧げているシモン。悪魔の誘惑を断固拒み、6年6週と6日もの間修行に励む彼は、一段と高い、天国に近い別の柱に移り新たな修行を開始する...。ブニュエルのメキシコ時代最後の中編。
《1965年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞受賞》
1965年/メキシコ/46分/モノクロ
監督:ルイス・ブニュエル
原案:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、フリオ・アレハンドロ
撮影:ガブリエル・フィゲロア
製作:グスタボ・アラトリステ
出演:クラウディオ・ブルック、シルヴィア・ピナル、エンリケ・アルバレス・フェリックス、オルテンシ ア・サントベニャ、フランシスコ・レイゲラ 他
上映/イベントスケジュール
上映期間:2018年5月11日(金)〜13日(日)
日付 | 時間 |
上映作品 イベント |
5月11日(金) | 17:00〜18:31 |
ビリディアナ |
5月12日(土) | 17:00〜18:34 |
皆殺しの天使 |
5月12日(土) | 18:55〜19:58 |
アンダルシアの犬+砂漠のシモン |
5月13日(日) | 13:30〜15:04 |
皆殺しの天使 |
5月13日(日) | 15:30〜16:33 |
アンダルシアの犬+砂漠のシモン |
5月13日(日) | 17:00〜18:31 |
ビリディアナ |
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チケット情報
料金
料金
- 一般
- 1,000円
- any会員
- 500円
- 特別割引
- 500円
- 25歳以下
- 500円
備考
チケットの購入方法についてはこちらをご覧ください
特別割引は、シニア(65歳以上)と障がい者および同行の介護者が対象となります。
基本情報
上映期間 |
2018年5月11日(金)〜13日(日) |
上映作品 | 3作品 |
チケット情報 | 有料 |
クレジット |
配給:アイ・ヴィー・シー |