優秀映画鑑賞推進事業
市川崑監督特集
才気あふれる作風で日本映画の刷新を試み続けた市川崑
市川崑の監督作4作品を紹介します。
上映作品4作品
作品上映
野火
作品上映
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野火
「俘虜記」や「レイテ戦記」など、戦後の戦争文学に大きな足跡を残した大岡昇平の同名小説を映画化したものである。戦争末期のレイテ島の戦場。食料難のため部隊からも病院からも見捨てられた主人公。さまよううちに知り合った二人の敗残兵。その一人は猿の肉だと称して人肉をすすめる。それに気付いた時に自分も殺されそうになり、逆に相手を殺してしまう。映画化にあたって市川崑監督は次のように述べている。「大岡さんは原作の中で、大変大きなテーマとして神を登場させている。……映画ではむしろ神の問題を全部なくすことによって神を感じさせられる……だから原作では主人公が人肉を食うけれど、映画では食わない。……そこで人肉があまりに固いために歯がボロリと欠けるという具合に書き変えた。歯が欠ける、これが映画ではないだろうか」。ブラック・ユーモアを得意とし、才気煥発な監督ならではの弁である。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
1959年/大映/104分/白黒/シネマスコープ
原作:大岡昇平
脚本:和田夏十
監督:市川崑
企画:藤井浩明
撮影:小林節雄
照明:米山勇
録音:西井憲一
音楽:芥川也寸志
美術:柴田篤二
出演:船越英二、滝沢修、ミッキー・カーチス、星ひかる、月田昌也、潮万太郎、石黒達也、稲葉義男、浜村純、伊達信
作品上映
ぼんち
作品上映
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ぼんち
原作は、山崎豊子が「週刊新潮」に長期連載をした小説であり、原作者が得意とする大阪の商人ものの一編である。舞台は大阪・船場。四代続いた裕福な足袋問屋の一人息子が、女系家族の中で甘やかされ、それゆえに悪戦苦闘する姿が、多彩な女性関係を中心にして年代記風に描かれている。映画では、60歳近くになった主人公が、戦争による苦難をようやく乗り越え、家の再建を図ろうとするにあたり、昔のあれこれを回想するという形式が採られている。そこに登場するのは、自分を溺愛した祖母や母のみならず、これまで関係したさまざまな女性たちである。彼女らを演じるのは、ベテラン、演技派、若手まで、みな当時を代表する個性的な映画女優であり、その競演が一つの見どころであると言えよう。また、主演の二枚目時代劇スター・市川雷蔵は、市川監督の『炎上』(1958)で初めて現代劇に出演、その演技力が注目されたが、ここでは老け役に初挑戦している。
1960年/大映/104分/カラー/シネマスコープ
原作:山崎豊子
脚本:和田夏十
脚本・監督:市川崑
製作:永田雅一
企画:辻久一
撮影:宮川一夫
照明:岡本健一
録音:大角正夫
音楽:芥川也寸志
美術:西岡善信
出演:市川雷蔵、京マチ子、若尾文子、越路吹雪、草笛光子、中村玉緒、山田五十鈴、船越英二、毛利菊枝、北林谷栄、中村鴈治郎
作品上映
東京オリンピック
作品上映
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東京オリンピック
1964年10月10日から24日まで開催された第18回オリンピック東京大会は、スポーツによる国際交流の場を通して、わが国が世界にその復興を示した国家的規模の一大行事であったと言えるだろう。この作品はそのメモリアル・フィルムとして市川崑総監督以下、561人のスタッフが結集して製作され、翌年公開されるや空前の観客動員を記録し、12億を超える配給収入を上げた話題作である。また、その際に「記録か芸術か」という問題を提起し、様々な議論を巻き起こしたことも忘れられない。それは、この作品がスポーツの勝敗よりも、スポーツをする「人間」により多くの描写を費やしたためとも言えるのだが、これはこれで作家市川崑としての一貫した姿勢でもあった。結果は、カンヌ国際映画祭批評家協会賞受賞、「キネマ旬報」ベストテン第2位選出にも表れている。
1965年/東京オリンピック映画協会/170分/カラー/シネマスコープ
総監督:市川崑
製作:東京オリンピック映画協会
企画・監修:オリンピック東京大会組織委員会
プロデューサー:田口助太郎
脚本:和田夏十、白坂依志夫、谷川俊太郎、市川崑
技術監督:碧川道夫
音楽監督:黛敏郎
録音監督:井上俊彦
監督部:細江英公、安岡章太郎、谷川俊太郎 他
撮影部:林田重男、宮川一夫、中村謹司、田中正 他
ナレーター:三国一朗
作品上映
おはん
作品上映
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おはん
十年の歳月をかけて宇野千代が書き上げた昭和文学の古典的名作を、市川崑監督が、前作『細雪』で新たな女優像を獲得した吉永小百合を主演に迎えて映画化。本作で演技の幅をいっそう広げた吉永は、第8回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得し、女優としてさらなる飛躍を遂げた。この作品は、出来心から妻を捨てた男が、芸妓と元妻の間で揺れ動く心の迷いを、やがて迫り来る我が子の水死という因果応報的な世界観とともに描き出している。様式化された俳優たちの演技にくり返し重なるマーラーの交響曲第5番第4楽章の旋律もまた、そのような世界観を影で支えている。市川監督が原作を離れて演出したラストシーンにおいて、それまで従順であった元妻が浮かべる不敵な笑みは、独占欲の強い芸妓との性格の違いを解消して、二人がまるで一人の女性であるかのような印象を与える。「キネマ旬報」ベストテン第6位。
1984年/東宝映画/112分/カラー/ビスタ
原作:宇野千代
製作・脚本・監督:市川崑
脚本:日高真也
製作:田中友幸
撮影:五十畑幸男
照明:望月英樹
録音:大橋鉄矢
音楽:大川新之助、朝川朋之
美術:村木忍
出演:吉永小百合、大原麗子、石坂浩二、ミヤコ蝶々、香川三千、長谷川歩、浜村純、常田富士男、横山道代
上映/イベントスケジュール
上映期間:2017年9月28日(木)〜10月1日(日)
日付 | 時間 |
上映作品 イベント |
9月28日(木) | 11:00〜12:44 |
野火 |
9月28日(木) | 13:30〜15:14 |
ぼんち |
9月29日(金) | 11:00〜12:52 |
おはん |
9月29日(金) | 13:30〜16:20 |
東京オリンピック |
9月30日(土) | 13:30〜15:14 |
野火 |
9月30日(土) | 16:00〜18:50 |
東京オリンピック |
10月1日(日) | 13:30〜15:22 |
おはん |
10月1日(日) | 16:00〜17:44 |
ぼんち |
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チケット情報
基本情報
上映期間 |
2017年9月28日(木)〜10月1日(日) |
上映作品 | 4作品 |
チケット情報 | 有料 |
クレジット |
主催:山口市、公益財団法人山口市文化振興財団、文化庁、東京国立近代美術館フィルムセンター |