タルコフスキー監督特集2017

タルコフスキーの長編第一回監督作品。第二次世界大戦下のソビエト。両親と妹をドイツ軍に殺されたイワンは、復讐心に燃えてパルチザンに協力し、危険をおかして敵の占領地域への偵察活動に従事する。幼い者のこころをゆがめる戦争。激しい戦闘シーンと、少年の心に時折よみがえる平和な日々の対比の中で、戦争の悲惨さと虚しさが浮かびあがる。

世界SF映画史上に金字塔を立てた代表作。海と雲に覆われ、生物の生存が確認されていない惑星ソラリス。だが、ソラリスの海は理性を持つと科学者たちは考え、何度も海と接触しようと試みたが、地上との交信が途切れてしまう。その調査のために派遣された心理学者クリスの目前に現れたのは……。極限状態にある人間の心に焦点を当て、哲学的命題を観客に投げかけてよこす。

イタリア、トスカーナ地方。モスクワの詩人アンドレイ・ゴルチャコフと通訳のエウジェニアは、18世紀ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿っていた。水、霧、光と言ったタルコフスキー作品に欠かせない要素で、混迷の世界とそれを憂える心を抒情的に描き出す。主人公アンドレイの読む詩は、タルコフスキーの父、アルセニー・タルコフスキーによるものである。

タルコフスキーの自伝的要素の強い作品。過去と現在を交差させる中で＜私＞の記憶が蘇る。木立に囲まれた祖父の家で髪を洗う母。暮らしに困り宝石を売る母に従いて行ったこと。火事で納屋が燃えた年に家族の許から去っていった父。第二次世界大戦、中国の文化大革命、宇宙開発、中ソ国境紛争など、激動の世界情勢も描かれ、心象風景が次第に形づくられてゆく。

タルコフスキーの名を世界映画史に刻印した作品。大地に突然現れた空間「ゾーン」。その中には願掛けの「部屋」があると言われ「ストーカー」と呼ばれる部屋案内人の三人の男たちがいた。雨、水、火などのタルコフスキー映画に欠かせない要素を駆使して、規制の多い当時のソビエト社会の暗喩と、そこに生きる人々の苦悩と未来への希望を描く。