優秀映画鑑賞推進事業
市川雷蔵と中村錦之助
市川雷蔵と中村錦之助
一世を風靡した二大スターの出演作4作品を上映
日本映画の名作をご紹介する「優秀映画鑑賞事業」。本年は、日本映画黄金期に活躍し、今なお色褪せない映画史上の名作に次々と出演した市川雷蔵と中村錦之助出演作4作品を上映いたします。多くの映画ファンを魅了し一世を風靡した二大スターの作品を、美しい35ミリフィルムでご堪能ください。
上映作品4作品
作品上映
弁天小僧
作品上映
/0
弁天小僧
伊藤大輔監督は、時代劇映画のパイオニアとでも呼ぶべき巨匠である。移動撮影を巧みに用いたダイナミックな描写で多くの観客を魅了し、伊藤大輔に憧れて映画の道を志したと公言する監督は数知れない。本作はその伊藤の円熟期の作品で、河竹黙阿弥の「青砥稿花虹彩画」(あおとぞうしはなのにしきえ)、通称「白波五人男」の映画化。歌舞伎などでよく知られた物語の一つである。弁天小僧は、日本左衛門らとともに徒党を組み、金持ちをゆすり、たかりで脅す凄腕のやくざとして勇名を馳せていた。ふとしたことから助けた娘お半の清純さに打たれた弁天小僧は、江戸を離れる最後の大仕事にと、呉服商の浜松屋に目を付ける。重厚なセットをバックに、伊藤監督は市川雷蔵や勝新太郎ら気鋭のスターと中堅俳優を見事に配し、ツボを心得た演出で江戸情緒を豊かに再現した。雷蔵の艶やかな女装姿、御用提灯の火の海がシネスコの横長の画面を埋め尽くすクライマックスも見逃せない。
1958年/大映(京都)/86分/カラー/シネマスコープ
監督:伊藤大輔
原作:河竹黙阿弥 脚本:八尋不二 撮影:宮川一夫
出演:市川雷蔵、青山京子、阿井美千子、黒川弥太郎、島田竜三、勝新太郎、中村鴈治郎
作品上映
眠狂四郎殺法帖
作品上映
/0
眠狂四郎殺法帖
市川雷蔵の代名詞ともなった「眠狂四郎シリーズ」の第一作。原作は柴田錬三郎のベストセラー小説。ころびバテレンと武士の娘の間に生まれた混血児という出生の秘密をもち、虚無と孤独の影をひいて生きる剣士・眠狂四郎を、雷蔵が持ち前の端正な魅力を発揮して演じている。加賀前田藩・藩主による密貿易の事実を証する書状が隠された碧玉仏をめぐり、前田家の間者・千佐、藩主に裏切られ処断された銭屋五兵衛、銭屋を助ける陳孫らの暗闘が繰り広げられる。千佐に助けを求められた狂四郎もこの争いに巻き込まれていく。「眠狂四郎」はこれ以前にも1956~58年に鶴田浩二主演で製作されているが、『お嬢吉三』『濡れ髪三度笠』『手討』など数多くの作品で市川雷蔵とコンビを組んだ田中徳三監督が、雷蔵での映画化を熱望し本作が実現した。雷蔵はこの後、三隅研次、池広一夫監督らとともに眠狂四郎像をつくりあげていく。「眠狂四郎シリーズ」は1969年の『眠狂四郎 悪女狩り』まで12本が作られた。
1963年/大映(京都)/81分/カラー/シネマスコープ
監督:田中徳三
原作:柴田錬三郎
脚本:星川清司
撮影:牧浦地志
出演:市川雷蔵、中村玉緒、城健三朗(若山富三郎)、小林勝彦、荒木忍
作品上映
反逆児
作品上映
/0
反逆児
戦国時代を制し天下を統一、江戸幕府を開いた徳川家康には悲運の長男があった。名前は三郎信康。母は桶狭間の戦いで織田信長の奇襲を受け落命した遠江の雄、今川義元の娘(築山殿)である。父、家康が母にとっては仇敵にあたる信長の旗下にくだったことに彼の悲劇の源があった。本作は、この史実をもとにした大佛次郎の原作「築山殿始末」を、時代劇の巨匠伊藤大輔が格調高く演出した作品である。原作では、信康を死に追いこんだ家康の側に比重が置かれていたが、映画では内部に矛盾をかかえた信康に焦点を当て、死を自らの運命として受け入れて切腹していく悲運のヒーローに造形している。大河内伝次郎、阪東妻三郎など優れた男優との出会いの中で、数々の名作を作りつづけてきた伊藤監督にとっては、自分のイメージを投影することができる俳優、中村錦之助を得たことが大きく、彼もエネルギッシュな演技でその要請に応えている。「キネマ旬報」ベストテン第6位。
1961年/東映(京都)/110分/カラー/シネマスコープ
脚本・監督:伊藤大輔
原作:大佛次郎
撮影:坪井誠
音楽:伊福部昭
出演:中村錦之助、桜町弘子、岩崎加根子、安井昌二、河原崎長一郎、杉村春子、東千代之介、月形龍之介
作品上映
沓掛時次郎 遊侠一匹
作品上映
/0
沓掛時次郎 遊侠一匹
大衆文学の雄である長谷川伸の諸作品は「股旅映画」の原作となっているものが多い。この「沓掛時次郎」も戦前からたびたび映画化されており、異題も含めて8本の作品を数えることができる。中でも、戦後では4作目に当たるこの作品は、屈指の名作として知られているものである。気のいいやくざ、身延の朝吉(渥美清)、やくざ志望の若者、昌太郎(岡崎二朗)のエピソードや迫力ある殺陣シーンなどに「やさしさと怒りの世界」と評される加藤泰監督独自の世界があらわれている。当初加藤は脚本家(鈴木尚之、掛札昌裕)による、原作には登場しない人物の設定に戸惑ったともいわれているが、この二人の存在が物語をより陰影の深いものにしているといえるだろう。彼は「時代劇映画の巨匠」と言われた伊藤大輔の門下、大衆的な物語を特徴的なロー・アングルで撮影し、豊潤な映像世界を作り上げた。主演の中村錦之助は、1950年代半ばから東映時代劇で活躍した大スター、幅広い芸域と鮮やかな口跡で数々の名作に出演している。
1966年/東映(京都)/90分/カラー/シネマスコープ
監督:加藤泰
原作:長谷川伸
脚本:鈴木尚之、掛札昌裕
撮影:古谷伸
出演:中村錦之助、池内淳子、中村信二郎、東千代之介、弓恵子、岡崎二朗、渥美清
上映/イベントスケジュール
上映期間:2015年9月3日(木)〜6日(日)
日付 | 時間 |
上映作品 イベント |
9月3日(木) | 13:30〜14:56 |
弁天小僧 |
9月3日(木) | 15:30〜16:51 |
眠狂四郎殺法帖 |
9月4日(金) | 13:30〜15:20 |
反逆児 |
9月4日(金) | 16:00〜17:30 |
沓掛時次郎 遊侠一匹 |
9月5日(土) | 13:30〜14:51 |
眠狂四郎殺法帖 |
9月5日(土) | 15:30〜17:20 |
反逆児 |
9月6日(日) | 13:30〜15:00 |
沓掛時次郎 遊侠一匹 |
9月6日(日) | 15:30〜16:56 |
弁天小僧 |
作品が見つかりませんでした。 |
チケット情報
基本情報
上映期間 |
2015年9月3日(木)〜6日(日) |
上映作品 | 4作品 |
チケット情報 | 有料 |
クレジット |
主催:公益財団法人山口市 文化振興財団/文化庁/東京国立近代美術館フィルムセンター |