メディア・アートの入り口としてのアニメーション

12作品／70分
（以下各作品上映順：「作品タイトル」作家名／上映分：秒）

1.「かたすみの鱗」石谷恵／8:58

頭の片隅で鱗が光り、記憶の発掘を始める。迷子になった博物館で出会った館長は、どんな人だったろう。

2.「超ラジオ体操」koya／5:03

歪なエネルギーが漲る男児達の群像劇。

3.「その家の名前」坂上直／4:31

そこはかつて祖父母が、両親が、僕が住んでいた場所。遠い記憶と感情を忘れてしまっても、確かにそこに存在し、これからもあり続ける。

4.「きつね憑き」佐藤美代／7:38

ある村のお祭りの夜。幼い少年、文六（ぶんろく）は友達と遊びに出かけ、道の途中に寄った下駄屋で、狐にまつわる古い迷信を知ってしまう。

5.「月夜&オパール」シシヤマザキ／3:21

目を閉じ眠りの中、私の意識は時空を超え、私は存在する全ての生命体になる。私は宇宙、宇宙は私になる。あなたは私の宇宙になる。眠りに落ちるその時まで。目覚の時に心魂体の存在を祈る唄。

6.「Holy Shit！」澁谷岳志／6:03

ゾウが一匹、山で絵を描き釣りをして暮らしている。ブタたちは街で股間を膨らませ、生きている。街中には塔がたっていく。ある日、ゾウの住んでいる山小屋にも塔がたち、ゾウは塔を登る。

7.「Helleborus Niger」武田浩平／7:57

かつての自分を娘に投影する父。記憶が鮮明になる時、ほころぶ二つの心の境界線。

8.「I'm here」中内友紀恵／6:00

どこへ向かって良いのか分からないけれど、どこかへ進まなくてはならない。何かを目指さなくてはならない。たえず形を変えながら漂う心は、目的を見つけることで成就へと駆け出していく。

9.「Tepid Bath」春成つむぎ／2:59

お湯も体もバスタブも、境がどんどん曖昧になる。全部混ざってぬるま湯の中。

10.「白いうなばら」米谷聡美／6:25

娘の書いた手紙を内緒で雪の海原へと流してしまう母親。疑問を抱いた娘は、母親のあとをつけ、船にもぐりこむ。未だ届かぬ想いが、雪解けを待つ。

11.「粃」山羊／5:29

分離した心ばかり知らず知らずのうちに大きくなる。やがて自ら膨張させたそのモノに飲み込まれ消えそうになる。実ることの出来なかった粃(しいな)。

12.「ズドラーストヴィチェ！」幸洋子／5:36

ある夏の日、海辺でロシア語を教えるおじさんに連れられ一緒に街へ出かけた。すると、見慣れたはずの街が普段と違う視点で見えてきた。おじさんは明日もきっと海辺にいるのだろう。

1.「HARBOR TALE（ハーバーテイル）」18分／2011年

舞台は港街「Y」。一片の赤いレンガは、洋館の一部として100年ものあいだ港街のうつろいを眺め続けてきた。「あの四角いキラキラしたもの」が何なのか知りたくて、ある日ついに壁を抜け出した。

2.「Blue Eyes – in HARBOR TALE – （ブルーアイズ イン ハーバーテイル）」7分／2014年

外国からの訪問者たちの水先案内人をして暮らしていたレンガは、ある日、運河につながれたボートハウスから出てきたビスクドールと出会い、もう一つの小さな物語が幕を開ける。