YCAM爆音映画祭2014

冒頭からいきなり爆音を見せられる。これですよこれ。このあまりに直截な爆音映像がこの映画のエンジン。だからこそ爆音と稲妻とともに時を超えるタイムマシン「デロリアン」を観ていると、デロリアンとは時間と音と光で作られる映画の原理そのもののことであると、そんなことを言ってみたくもなる。

飛行機も車も人間も激突する。ビルも爆破される。みんな血まみれになって世界の終わりにまっしぐら。その破壊の後からピクシーズの歌が聴こえてくる。それは破壊の後の創造ではなく、どこまでもひたすら破壊されていくばかりの世界の鎮魂歌。神のいなくなった世界を生きる唯物主義者の作る、魂の爆音。

鳴り響くジプシー音楽。地上の旅人でもあり、地下世界の旅人でもあるジプシーたちの歌は、人々の生きる場所そのものを「移動と運動」へと変える。ンチャンチャという2拍子に乗って映画もまた、激しく移動し、大きく揺れる。多くの人々巻き込んだその世界の大きな変動は、しかしあくまでも軽快で、それゆえ終わりがない。

ロードショー公開から約40年。マイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」が時を超え、今もどこかで鳴り響く。リンダ・ブレアのベッドが暴れ、ゲロが飛び散り、そして悪魔が出現する。憑りつかれた少女とそれを癒そうとする牧師との、たった二人の戦いに、アメリカ映画が全精力を傾けたのだ。

ロードショー公開時に、会話が聞き取れないと話題になった。風と波と漁船のエンジン音にかき消され、人々の声が輪郭を失っていく。それはまるで、漁船のレーダーにぼんやりと映る魚群の影のようでもある。そんな「影」として生きる人々の不鮮明でノイズまみれの声が映画となって、スクリーンから押し寄せてくる。

全米メディアを騒然とさせた衝撃の事件―ハリウッド・セレブの豪邸を襲ったティーン窃盗団―というセンセーショナルな題材に取り組んだソフィア・コッポラ最新作。リル・ウェインのように実際に窃盗団のお気に入りだったアーティストの曲を交えながら、カニエ・ウェストやフランク・オーシャンなど、ヒップホップ／R&Bシーンの最前線にいる大物達の楽曲が惜しげもなく流れるサウンドトラックは是非爆音で！

〈R+15〉

台湾は楽園である。でも果てしなく憂鬱である。楽園には出口がないからだ。肌にまとわりつく湿気のようなこの憂鬱に、若者たちはいら立ちを隠せない。何も変わらず何も動かずすべてが淀んだまま。湿気とともに大地に染み入った彼らのいら立ちが、音の蒸気となって立ち上る。地下からの爆音。爽快感はない。

ビキニのお姉ちゃんたちのにぎやかに笑うメインビジュアルとはまったく違う、血まみれのアメリカがそこにある。果てしなく地の底から湧き上がってくる低音の響きがその証である。かつて、野望を抱えた男たちの作ったその血の海を、彼女たちがしっかりと踏み越えていく。踏みつけられる映画。その音の清々しさ！

とにかくご機嫌なR&Bやソウルの数々。それらの音楽を聴かせるためにでっち上げられた物語と言ってもいい。ブラザーズが選んだ極上のソウルナンバーのベスト盤。1曲1曲演奏者も違うバラバラの曲をどう繋ぐか。そして最後は大暴走。街中を巻き込んでのカーアクションが、彼らの音楽を祝福する。これでいいのだ。

本格西部劇の元祖といわれる映画史上の記念碑的作品で、大予算をかけたスペクタクルでありながら、それまでの西部劇に欠けていた人間ドラマが高く評価を受け公開時に記録的ヒットとなった。本作を皮切りとし1924年のジョン・フォード監督による『アイアン・ホース』をはじめ良質の西部劇が量産され、映画の一時代を築いた。