松ヶ根乱射事件

変で可愛らしくて悲しくて笑える。何とも形容しがたい映画である。人間のおかしさを描いたダークコメディの傑作ではあるが、それだけではない。舞台は90 年代初頭の田舎町。謎のカップルの出現をきっかけに、平和だった小さな町の人間関係が微妙に壊れてゆく様子を、双子の兄弟の葛藤を軸にユーモアたっぷりに描き出す。監督は「リンダリンダリンダ」の山下敦広。主演の警官には「ゲルマニウムの夜」の新井浩文。音楽ではパスカルズとボアダムスが本作のユーモラスな展開に、さらなる彩りを加えている。真っ暗な劇場空間でこそ存分に味わえる、新感覚の山下作品をお楽しみ下さい。
解説:鈴尾啓太(コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）