幽閉者 テロリスト

狂気と幻想、精神の破壊、轟音、自己の原点……。Mは仲間とともに自爆攻撃を決行するが、Mの手榴弾だけが不発。ただ1人生き残り、独房へ入れられたMには地獄の現実が待っていた。Mは死を望むが、拷問・飼育・人体実験は終わらない。水滴拷問はやがて轟音となり、壊れゆくMは過去の記憶を甦らせ自問自答を繰り返す。
映画のモデルは、1972年"リッダ空港事件"の主犯である岡本公三。彼は、日本赤軍としてパレスチナの旅客ターミナルを襲撃し、1人生き残った。主人公Mを演じるのは田口トモロヲ。そして、ARATA・荻野目慶子・PANTA（頭脳警察）ら個性的俳優が共演。大友良英、ジム・オルークらの音響的要素を含む音楽が、完結を拒む映像に拍車をかける。監督は足立正生。彼は60年代、大島渚、唐十郎らと時代を駆け抜け、1972年『赤軍-PELP・世界戦争宣言』を若松孝二と撮影。1974年にパレスチナに渡り、日本赤軍に合流。60年代"アングラ界の寵児"と呼ばれた伝説の監督、足立正生による35年ぶりの新作が、同志岡本公三をモデルに現代の若者たちに向けて放たれる。
解説：鈴尾啓太（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）