「ガソリンミュージック&クルージング in 山口」関連上映

ポートランドの街にある食料品店に勤めるウォルト。ある日、メキシコ系の不法移民のジョニーと出会った彼は、その野生的な魅力に一目惚れしてしまう。しかし、ゲイではないジョニーはウォルトを邪険にあつかい、ウォルトはジョニーへの恋の熱と幻想に惑わされ続ける。そして、ある夜に最悪な出来事が起こってしまう……。
この作品は、ガス・ヴァン・サントの長編でのデビュー作にあたり、ビート・ジェネレーションの影響を受けたウォルト・カーティスの自伝的小説を映画化したものである。多くの映画祭で絶賛され、これまで幻のカルトムービーとされてきたが、今回、新たにニュープリントされ、公開された。
この作品で注目されるのはなんといっても、コントラストの強いモノクロ映像と美しいショットの数々と、ナレーションや音、センスのよいサウンドトラック。とくに雑踏の中で聞こえる音、室内での生活音などの聴覚的なものだけでなく、空一面に広がる雲、抜けるような遠景など、視覚的にも、現在のガスの作品にも一貫した共通点があり、まさに彼の原点が詰まった作品である。