ラストデイズ

1994年4月5日、一人の男が自ら命を経った。その男の名はカート・コバーン。当時人気絶頂だった"ニルヴァーナ"という伝説的バンドのボーカルである。薬物中毒に陥りリハビリ施設に入ったが、そこから抜け出し、スタッフや妻が必死に彼の行方を探す中の出来事だった。
誰も知らない、彼の最期の2日間。彼の死から10年以上経った今、ひとつの解釈ともいえる作品が作られた。監督は、ガス・ヴァン・サント。「エレファント」「ジェリー」に続き、実話にインスパイアされた3部作完結編ともなっている。アーティストが抱く不安、孤独、絶望、痛み。カートの死は、監督の親友でもあったリヴァー・フェニックスの死とも酷似する。本当の彼の2日間は誰も知らない。もしかしたらこんなふうに物を見、感じ、最期の時を過ごしたのかも知れない。淡々と描かれる美しくも残酷な風景に何を感じるだろうか。
解説 : あんのきよみ（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）