ロミオとジュリエット

世界中の人々が知っているシェイクスピアの不朽の名作「ロミオとジュリエット」。あまりに有名なこの小説を映画化するのは容易なことではありません。恋する喜びと命がけで真剣な愛を貫き通す強い意志、そして訪れる悲劇……。これを美しく、みごとに演じられる役者はそうそういないでしょう。なぜなら原作の二人は16歳と14歳なのですから。実際、世界公開された映画は三作ぐらいしかありません。このあまりに幼く、且つ激しい恋の主人公を本作はほんど同年齢の二人の俳優を得たことでほぼ完成されたといっていいでしょう。オリビア・ハッセー（当時15歳）、レナード・ホワイティング（当時18歳）。特にジュリエット（オリビア）の登場するカットは最初に観た時から数十年たった今も深く心に刻み込んだ私の中でのベストショットです。こんなにかわいい人がいるのだろうか、と息をのみました。あまりにも有名なバルコニーのシーン、初めて二人で迎える朝と切ない一時の別れ。全てが一枚の絵のように観る者を釘付けにします。それゆえクライマックスの悲劇がいっそう際立つのです。ジュリエットの可憐さ、ロミオのひたむきさ。恐ろしいまでの美しく激しい恋の名作を印象に残る主題曲と共に再びスクリーンで観れるのは実に幸せです。
解説：小澤由己子（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）