おわらない物語　アビバの場合

ヒロインのアビバを演じるのは肌の色や年齢、そして性別も異なる8人の役者たち。12歳のアビバは母親になって子供に絶対的な愛を与えたいと熱望する。なんとか妊娠したものの、ショックを受けた母親にむりやり中絶手術を受けさせられる。それでも夢を諦めきれないアビバは家を出る。そこからアビバの愛の冒険が始まる。辿り着いたのは、まるで楽園のようなサンシャイン・ホーム。そして今まで出会ったことのないような子供たち。一緒に生活していくうちにアビバは家族の暮らす家にもサンシャイン・ホームにも居場所のない宙ぶらりんの自分に気付き始める……。
場面ごとに唐突に入れ替わるアビバ役には人々が外見によってもつイメージを崩し、見た目が変わろうとも中身は同じ性質を持ち続ける。という意味を込めている。まるでおとぎ話のように純粋で残酷な愛のお話。この映画は基本的には母になり、子供に絶対的な愛を与えたいと願う女の子アビバの冒険物語で、究極的には愛についての物語である。
解説：伊東紗矢乃（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）