さらば箱舟

「人間は、不完全な死体として生まれ、何十年かかって、完全な死体となるのだ」。寺山修司、1983年5月4日、東京・阿佐ヶ谷河北病院にて肝硬変と腹膜炎のため敗血症を併発し、死去。享年47歳。
青森県に生まれ高校生時代より短歌の才能を開花させ歌人として出発した寺山は、1967年には、“見世物の復権”を謳い演劇実験室「天井桟敷」を設立、アングラの旗手として市街劇「ノック」など社会的にも多くの話題を集めました。同時に、映像作家としても数多くの脚本と短編、そして5作の長編映画を残しています。劇作を映画化し自伝的な「書を捨てよ、町へ出よう」や東映で制作した「ボクサー」等々。代表作であり遺作となる本作は、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」をテキストに、架空の村を舞台に一世紀に渡る一家の興亡を描いた一大叙事詩です。生誕70年（12月10日生まれ）となる今年の最後に、パパ・タラフマラ公演「HEART of GOLD—百年の孤独—」と合わせご鑑賞ください。
解説：YCAM（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）