愛の神、エロス

『セックスと嘘とビデオテープ』のスティーブン・ソダーバーグ、『ブエノスアイレス』のウォン・カーウァイ、『情事』のミケランジェロ・アントニオーニ。世界を代表する名匠3人の夢のようなコラボレート作品。テーマは「エロス」。 「エロス」といっても表現の方法は様々である。好きな人に想いも告げることも許されない純愛もあれば、勿論体で感じる愛もある。特にウォン・カーウァイのパートである『若き仕立て屋の恋』は圧巻。コン・リー演じる高級娼婦ホアを無償で愛しつづける若き仕立て屋チャン（チャン・チェン）の純愛は、体の関係などなくともエロティシズムを感じることができる。性描写だけが「エロス」ではないのだと痛感した。他の2作品も監督の個性が十分に発揮されており、贅沢な映画となっている。そして、全く毛色の違った3作品をつなぐ役割を果たすのが、イタリアのアーティスト、ロレンツォ・マットッティの美しい絵画とカエターノ・ヴェローゾの音楽!溜息の出るようなフルコースを是非劇場で堪能していただきたい。
解説：あんのきよみ（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）