ウィークエンド

60年代ゴダールの作品。共産主義に没頭していた時代のゴダール作品だ。「ゴダールの作品はよくわからん。難しい。」そんな敬遠は、大間違いのこの映画。いきなりの浮気者コリンヌのささやき。逆光で表情を奪われたコリンヌの語る幻想によって、私たちは、コリンヌとロランの不道徳なブルジョア夫婦とともに週末の荒唐無稽な旅に誘われるのだ。伝説の300m大渋滞シーン、コリンヌの父の遺産をぶんどりに行く道中に出会うたくさんのクレイジーな人間たち、事件たち。最後は人食いヒッピーゲリラに拉致されてしまう2人。資本主義社会体制、中でもその産物のブルジョアに痛烈に批判の的が向けられ、全編通してブラックな笑いが絶えない作品となっている。今みても斬新なファッションや、圧倒的な色彩美、クラシック名車の数々……。たくさんの物質や思想や革命が刻み込まれた荒唐無稽な物語。最高です。
解説：奥田愛（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）