白い巨塔

「白い巨塔」といえば田宮二郎！天才外科医・財前五郎といえば田宮二郎！そうです。この人でなくてはダメなのです。あの眉間に皺をよせたクールな眼差し。薄い唇をちょっとゆがませるニヒルな笑い。権力、名誉欲に翻弄される天才外科医を見事に演じきった、まさにはまり役。この映画以降田宮二郎は最後までニヒルな二枚めスターとして演じ続けたのでした。山崎豊子原作の社会派ドラマを、巨匠山本薩夫監督と「砂の器」の脚本家橋本忍が組んで創り上げた映画史に残る名作。当時タブーとされていた医学界の内部に鋭いメスを入れ、その知られざる実体と人間の生命の尊厳を描き出して社会的にも大きな衝撃と反響を巻き起こしました。現在テレビドラマでもリメイクされていますが、人間の生と死金と権力、野望は不変のテーマです。映画ではモノクロの画面がそのテーマを一層深く鋭くスクリーンに浮き彫りにしています。久々に上映される劇場版オリジナル作品、是非お見のがし無く！
解説：小澤由己子（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）