アマデウス〈ディレクターズ・カット〉

「アマデウス」（神に愛されし者の意）は35年の短い生涯の間に600以上の曲を作曲した。4歳で父から音楽の手ほどきを受け5歳で作曲を始めている。しかし神童モーツァルトは、彼の作品から推し量った私達の想像の産物なのかもしれない。真実の彼の姿は？。この映画は彼と同時代に生きた音楽家サリエリによって語られる。サリエリ自身も強い音楽への憧れと意欲を持ちながら「神に愛されし者」は若いモーツァルトであった。激しい嫉妬と共に、モーツァルトの作品に満ちあふれた美しさに驚愕し心を動かされずにはいられない現実。この複雑なサリエリを演じたM・エイブラハムは、84年アカデミー主演男優賞を獲得している。また、アマデウス役のT・ハルスはピアノの名手で、劇中のピアノ曲は彼自身が演奏している。監督はM・フォアマン。母国チェコで撮影した美しい映像。泉のようにあふれる名曲の数々。モーツァルトの音楽を聴けば犬は無駄吠えをやめ、乳牛はたくさん乳を出すそうだ。最近はモーツァルト・セラピーと呼ばれる言葉も存在する。「晴れやかな陰影」或いは「疾走する悲しみ」と称されるモーツァルトの音楽と、豪華絢爛な映像を心ゆくまでお楽しみ下さい。
解説：岩尾三千代（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）