十三人の刺客

当館で9月から始まった「時代劇シリーズ」の最終回は "これぞチャンバラ！"と太鼓判を押せる工藤栄一監督の傑作です。豪華な俳優陣、練りに練った脚本､壮絶な殺陣シーンをリアルに見せる執念のカメラワーク、とどれをとっても「面白い！」の一言。江戸中期、明石藩主の暴君は将軍の弟であった。幕閣の老中土井（丹波哲朗）は密かに暗殺計画をたて、島田新左衛門（片岡知恵蔵）を頭とする十三人の刺客（西村晃、里見浩太郎 他）を送り込む。しかし明石藩には島田の旧友の切れ者 鬼頭半兵衛（内田良平）がいる。刺客達は参勤交代の途中の宿場を暗殺の舞台と決め、迷路のように作り変え鬼頭率いる大名行列を待ち受ける..。個性的な刺客達、藩主の暴君ぶりを知りながら懸命に護ろうとする家臣。前半はまさに「人間」対「人間」の駆け引きが展開される。そして後半の30分にも及ぶ宿場町での大立ち回り。たった十三人で大軍を迎え撃つためにあらゆる策略を練って決死の覚悟で戦いに望む姿は壮絶です。近年のカッコイイ殺陣シーンとは別次元の、泥臭い死にものぐるい切り合いは本当にリアルでまさに死闘、これぞチャンバラ！！ しびれる映画です。
解説：小澤由己子（コミュニティシネマ／プログラムコミッティ）