ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

これは普遍的な物語。性別や人種、宗教、世代間の境界や障壁を越えて人の心に強く訴えかけてくる。人間は元来、2組の手足、神の頭部を模倣した2つの顔を持つ、2対の身体がひとつになった生き物だった。しかし、神はカをつけた人々を恐れ、地上に稲妻を放ち、つながっていた人々の身体を2つに引き裂いた。そして、人間は寂しい2本足の生き物となってしまう。以来、人間は自分の"失われたカタワレ（missing half）"を求めてさまよい、そして出会った時に芽生える感情、それが「愛」なのだ。それはプラトンによる魅惑的な「愛の起源」の物語。東ドイツ出身の性転換したロックシンガーが、自分の“カタワレ”を探すストーリー。今日も彼女はステージの上で歌を通して自らの半生を語る。
解説：伊東紗矢乃