私たちをとりまく音響技術の発展は目覚ましいものがあります。ある地点で採取した音の響き方のデータを他の音と組み合わせることにより、現実にはない響きや音を創造することも可能になっています。また、聴取環境においても高音質が日々追究され、私たちが得られる音の多様性、情報量は飛躍的に増えています。
参加者がオンラインで参加するこのワークショップでは、まず参加者はそれぞれの環境下で自分の耳に届く音を列挙するワーク「イヤー・クリーニング」を通じて、日常に潜む音の多様性を認識していきます。その後は、スマートフォンなどの機器を用いて身の回りの音を録音。他の参加者が収録した音を聴きながら、そこから想起した風景や物語を言葉や図形を用いて表現し、感想や意見を交換します。インターネットを通じて世界各地の音の景色=音景をたゆたうことで、想像力を拡げていきます。
ワークショップ概要
所要時間:180分
参加人数:6名
対象年齢:小学校1年生〜一般
ワークショップの流れ
- ワークショップの説明
- イヤー・クリーニング
- サウンドスケープ採集
- 採集した音を発表する
- 意見交換
トピック
音景
このワークショップは、2019年に発表した細井美裕+石若駿+YCAMによるコンサートピース「Sound Mine」のコンセプトをもとに開発されました。そのコンセプトとは「私たちが普段何気なく聴いている音の中から、情報を掘り起こす」というもので、背景にあるのは、カナダの現代音楽作曲家R.マリー・シェーファーによって提唱された「音景(サウンドスケープ)」という概念です。私たちの身の回りには、自然音、人工音を問わず、あらゆる音にあふれています。こうした音を風景の一部として捉えることにより、個人や社会と音の関係性について、多様な角度から考察する一助となります。
オンラインワークショップ
従来、YCAMで開発されたワークショップは、参加者が一堂に会して行われることが基本となっていましたが、このワークショップは、インターネットを通じて参加者がそれぞれの場所から参加することが前提となっています。このことにより、日本あるいは世界各地の多様な音を収集することが可能になります。参加者は他の地点で採集された音から、音のもつ特異性、あるいは普遍性を感じ取り想像を大きく広げることになるでしょう。