「ゾウ」という言葉からイメージする動きをしてください、と言われたとき、どのような動きを思い浮かべるでしょうか。そしてその動きは他の人に正しく伝わるでしょうか。「ゾウ」が鼻を揺らす動きも、他の人が見たら「交通整理をする人」をイメージするかもしれません。
このワークショップでは、言葉とそこからイメージする動きの"ズレ"を再発見し、新しいダンスの振り付けをつくります。さらに、独自に開発したソフトウェアを用いて、参加者の身体の動きをデータ化します。データベースに登録された動きに言葉のタグをつけることで、言葉による動きの検索、また動きによる言葉の検索ができるようになります。データベースに参加者によるデータを蓄積していくことで、言葉と身体の関係性への新たなアプローチを探ります。
ワークショップ概要
所要時間:120分
参加人数:10名
対象年齢:小学生以上
ワークショップの流れ
- このワークショップの説明
- 自己紹介
- 言葉によるスケッチ
- 言葉と動きのしりとり
- コトバ身体のシステムの紹介
- 身体の動きのデータ化
- 言葉による検索と振り付けの作成
- 発表
- 振り返り
トピック
言葉によるスケッチ
言葉を使って身の回りのモノをふせんにスケッチし、言葉同士の組み合わせを考える。人によってモノへのイメージが異なること、また複数の言葉のあいだにあるおかしみを再発見する。
言葉と動きのしりとり
二人一組で短いダンスの振り付けを考える。ひとりがダンサー役、もうひとりが振り付け家役に分かれる。振り付け家はダンサーの動きからイメージした言葉をふせんに書く。ダンサーはその言葉からまた新しい動きを生み出す。これを三回繰り返し、生まれた三つの動きを連続したダンスの振り付けとして発表する。言葉からイメージする動き、また動きからイメージする言葉が人によって異なることを再発見する。
コトバ身体のシステム
このワークショップでは、身体の動作をキャプチャーするビデオカメラと、このワークショップのためにYCAMインターラボが開発した、身体の動きを保存するためのデータベースソフトウェアを使用している。データベース上に身体の動作を保存する際に、動作の内容からイメージした言葉をタグとして付与することができる。この機能により、利用者はデータベースから特定の言葉に紐づいた動作、あるいは入力した動きに似た動作を検索することができる。また2つ以上の動きを選択し、システム上で合成することもでき、そこから新しいイメージを喚起させられる。
振り付けの作成
複数のチームに分かれ、YCAM InterLabが開発したソフトウェアを使用し、データベース上に登録された動きを組み合わせてチームごとにひとつのシークエンスを作成する。組み合わせた動きをひとつの連なった振り付けとして捉え、動きを練習した後、各チームごとに発表する。参加者はこの一連のプロセスを通じて、身体の動きをデータ化、編集し共有することを学ぶ。また、身体の動きの背景に隠れた意味について想像し、言葉と身体の動きの関係性について考える。