Wikipediaに代表されるように、インターネットには複数の人々が自らの知識を持ち寄ることで、膨大なトピックについて網羅的に紹介するウェブサービスが存在しています。インターネットを介して他者と協働しながら制作するケースは、今後ますます増えていくことが予想されます。制作のプロセスにおいては、音声、画像、動画等のそれぞれのメディアの特徴を理解し、閲覧する人に適切に伝わるような工夫が必要です。「この表現はどのように伝わるか」と第三者の反応を想定しながら情報を編集することは、SNS等を通じて誰もが手軽に発信できるようになったいま、重要なスキルのひとつといえるでしょう。
本ワークショップでは、私たちの身近な「地域」に焦点を当て、自らの足で歩き、五感で感じ取った体験や取材を基にして、オンラインで閲覧が可能な図鑑を制作します。編集作業を通じて、目的に応じて適切にメディアを活用する技術や、インターネットを通じた他者とのコラボレーションについて理解を深めることができます。
ワークショップの概要
所要時間 180分
人数 〜30名程度
対象年齢 小学校1年生以上
ワークショップの流れ
- フィールドワーク
- 撮影
- インターネットや書籍などを通じた調査
- 360度図鑑の作成・編集・公開
- 発表
トピック
フィールドワーク
調査対象の周辺地理を確認しながら、グループごとに、見たいこと、調べたいことを確認しあい、フィールドワークに出発します。フィールドワークでは、発見したこと、目的地で調べたことや疑問などを、タブレット端末を活用してメモしたり、画像や映像で記録します。記録の際には、取材の結果がオンラインで公開されることを念頭に置いておかなければいけません。360度図鑑においては、テキスト、画像、音声、動画を用いてトピックを紹介することが可能なためです。図鑑の閲覧者にとって情報がよりわかりやすく伝わるように、適切なメディアを選択し、記録の方法にも工夫が必要となります。また、フィールドワークで得た情報については、図書館や書籍を活用したり、地域の方や専門家への追加取材を実施します。一次的な情報だけではなく、二次的・三次的な資料にも積極的に触れることで、情報の正確性を検証します。この作業を通して、情報発信におけるメディア・リテラシーを実践的に学ぶことができます。
図鑑のつくり方/リアルタイムな共同編集
フィールドワークの時間にスタッフがドローンや360度撮影可能なカメラを用いて、ある地点からの360度映像を撮影します。撮影した映像は図鑑作成専用のウェブサイトにアップロードされます。参加者はウェブサイトにログインし、画面に表示された360度映像を見ながら任意の箇所にピンを打ち、発信したい内容についてタイトルと文章や音声、画像、動画を掲載することができます。
ウェブサイト上で複数の参加者が同時に編集作業を行うことで、リアルタイムに他者の視点や気づきが共有されていきます。投稿が即座にウェブサイトに反映されることの楽しさを実感したり、別の参加者に触発されて次々と新たな投稿、関連する投稿を作成していく現象は、オンラインにおける協働作業の醍醐味であるともいえるでしょう。
なお、このウェブサイトのシステムは、過去にYCAMで制作・実施したワークショップ「森のDNA図鑑」をベースに開発されています。