空間内にはYCAMが開発したワイヤレススピーカーが8個設置されており、そこからは山口市内で聴くことのできる生活音や環境音が再生されている。この音は、山口市内の小学生が録音したもので、山に出没する熊を避けるための鈴の音や、えびの養殖場の水を撹拌する水車の音、商店街にあるさまざまな店舗の音など、100種類を超える音声があり、そのいずれもが地域の産業や気候などの特徴を捉えたものになっている。
鑑賞者はスピーカーの位置や発生する音源は鑑賞者が自由に変えることができ、鑑賞者はスピーカーから聞こえるサウンドを手かかりに空間内に音を構成し、来場者オリジナルのサウンドスケープを立ち上げていく。サウンドは山口で録音された山口らしいものでありながら、他のサウンドとの関係によって、そのイメージを一変させる。音を通じて山口の情景を喚起させるとともに、山口の新しい側面を発見する機会にもなる。
街、海、山—音で感じる山口の風土
山口市内の風景を、録音したサウンドを空間的に構成することで表現するインスタレーション作品。