2本のアンテナと巨大なモニター群。この作品は、アンテナを使用して複数の無線電波を送受信することで、観客のスマートフォンなどのモバイルデバイスが持っているW-iFiの「自動サーチ機能(プローブリクエスト)」を利用して、自動的に共有されるユーザーデータを分析、可視化します。
具体的には、ネットワーク機器やネットワークアダプターに付帯された固有の識別番号である「MACアドレス」を解析することで、モバイルデバイスのメーカー名を表示し、さらにはそのデバイスの位置=観客の位置を会場内の地図にマッピング。さらには、観客が以前に接続したWi-Fiの名称(SSID)から、YCAMを中心とした半径約5キロ以内の地域で、過去に滞在した場所を推測して表示します。作品を体験する観客のモバイルデバイスがリアルタイムに取得される様子は、ユーザーが意図して発している情報ではないにも関わらず、ユーザーの明示的な同意がないままに情報を取得している、世界中で採用されているデジタルおよび無線監視のシステムへと、観客の想像力を誘います。