舞台上には1台のテーブルと巨大なビティ(建設用足場)、そして天井には円形のLED照明が設置されている。これらの要素が、舞台背景のスクリーンに投影される映像や空間全体を包み込むサウンドとともに、センサーを介してパフォーマーの動きと精緻に連動し、パフォーマーの身体の延長としての舞台空間をつくり上げていく。鑑賞者はパフォーマーの動きとともに、瞬時に変容していく舞台空間全体を通じて、私たちが知覚する〈現象〉と、社会環境や日常のストーリーを読み込んだ上で立ち上がる〈認識〉との間に横たわる差異や断絶を感受する。
センサー
筋肉が発する微弱な電位差を計測できる「筋電センサー」を使用し、オリジナルの小型センサーデバイスを開発。それを2人のパフォーマーに装着することで、あらゆる動きをデータに変換し、サウンドや舞台装置などと連動させている。
テーブル
形状こそ簡素なものの、その内部にはプロジェクターなどの機器のほか、可変機構などが組み込まれており、作品のメインシステムのような役割を果たしている。また、その上に雑然と置かれた地球儀やグラスなどのオブジェにもさまざまな機構が組み込まれており、パフォーマーとのインタラクションを誘発する。
LED照明
直径8メートルの円形に配置されたLED照明は藤本を中心に独自に開発したもので、コンピューターを介して、円周上の任意の位置から任意の色を瞬時に発光させることができる。
ビティ(建設用足場)
建設用足場には巨大な振動子が取り付けられており、照明やサウンドに合わせて全体が振動する。そのときに発生する物音が空間全体に物質感や質量感を与えている。