事前に、作品空間内に30cm間隔でグリッドを設け、各ポイントで周波数特性を計測する。その結果に基づき、空間的な「偏り」が特徴的な周波数を選び、組み合わせることで、その空間特有の音響を導き出す。発せられる音自体は変化をさせていないにも関わらず、サイン波はある場所では強め合い、またある場所では打ち消しあい、聴取する場所によってダイナミックに音が変化する。
鑑賞者は、見えない4重のレイヤーとも言える、4本のサイン波によってつくり上げられた音響空間を歩き回り、探索することで、それぞれが個別のナラティブを見出すとともに、人の聴覚特性、サイン波の相互作用、そして空間の固有性を体験する。
コンクリートで囲まれた特殊な空間と、そこに設置された4台のスピーカーから発せられるサイン波で構成されるサウンド・インスタレーション。