音声読み上げソフトウェアとパフォーマーの対話を通じて、人と人、人と情報、人とモノの関係性にこれまでにないアプローチから光を与えるパフォーマンス作品。
日々発信される圧倒的な情報。その多くは真贋が問われることなく流通し、私たちの生活を取り囲むように流通している。コミュニケーションツールが発達して、発信者との距離が縮まったかのような現代だが、相互理解が深まっているのかは疑問が残る。
この作品では、コンピューターに内蔵されている音声読み上げソフトウェア「Text to Speech」から出力される言葉によって、国籍の異なる6人のパフォーマーは次第に身体のバランスを失い、他者と自分自身を傷つけていく。さらに、パフォーマーは、ソフトウェアが読み上げる紛争のニュースにシンクロするように踊り出す。こうした様子は、様々なメディアに囲まれて生活する私たちの「崩壊する個と個の関係」を象徴している。実在する紛争、遠く離れた私たちの目と耳に増幅するニュースや映像が創り出すイメージの現在形が浮かび上がってくる。