会場の中央部分に設置された巨大なキューブ。その各側面にはミュージシャンのシルエットが投影されており、またキューブの内部からはミュージシャンたちによる演奏音が聞こえてくる。このシルエットと演奏音は、8名のミュージシャンが個別に即興演奏をおこなった様子を事前に記録したもので、これらのシークエンスの時間的な配置をコンピュータープログラムで制御することで、相互に干渉し、滲み合うようなアンサンブルを絶えず生み出していく。さらに、キューブの側面の反対側にある壁に設置された巨大なスクリーンには、木・鉄・液体などで作られたオブジェのディテールが映し出されており、キューブに投影されたミュージシャンの演奏に合わせて、振動/流動していく。
観客は全ての演奏者の音を同時に聴くことはできても、キューブの4面、そしてそれを取り囲む壁面を同時に見ることはできないため、決して全貌を見渡すことはできない。