実際の図巻の10倍もの大きさのスクリーン(横6m、縦4m)に投影される映像は、風景が移ろっていくかのようにゆっくりしたスピードで動いていく。山口県立美術館での作品展示をはじめ、映像を駆使した空間演出で様々なプロジェクトを展開するアーティストにより、雪舟の水墨画の風景は、実際の大殿の町並みに重なり、新たな魅力を開示する。
四季山水図
雪舟等楊筆。一般に「山水長巻」とも呼ばれ、雪舟の代表作、生涯の傑作として知られている。移り行く四季の変化を、長さ16mの長巻の上に、雄大な構図で描き出しした水墨画。建物や人物は中国風であるが、微妙な四季の変化の描写は日本の自然を描いたものであり、その雪舟独自の筆意に満ちた水墨画は、室町水墨山水画の最高傑作の一つとされている。
雪舟は、1464(寛正5)年に山口に移り、1467(応仁元)年には、日明貿易の中心的役割を担っていた大内氏の遣明船で中国に渡り、それを契機に画僧としての名声を高めた。大内氏が西国一の有力大名として経済的・文化的に繁栄したこの時代には、数多くの公家や禅僧、文人らが山口に訪れているが、中でも雪舟は、大内文化に大きな足跡を残したとされている。
本作は、山口が「西の京」と謳われる基礎を築いた大内氏第29代当主大内政弘の時代に描かれ、献上されたもので、大内氏の滅亡後は、毛利氏が所有し、以降毛利家により保存され、現在は毛利博物館に所蔵、毎年11月に公開されている。