ダンス、音楽(チェロ/エレクトロミュージック)、プログラミングといった分野で活動する第一線のアーティストがジャンルを超えて集結し、それぞれのマテリアル(素材)を最大限に使って多角的に身体表現の可能性を探る実験的プロジェクトの最新版。
優れた身体能力で詩的な世界を紡ぎ出す2人のダンサーと、高度な奏法を駆使し、圧倒的な存在感の音楽を奏でるチェリストが舞台に登り、作曲家、プログラマーと相互に連携しながら、ライブで作品を創り出していく。この作品で使用されているのは、身体の動きと音や映像のインタラクティブな関係を築く、独自に開発されたオープンソースのソフトウェア「IF/THEN」システムである。
このシステムは、簡単なジェスチャーとルールで構成されるゲームであり、「もしあなたがXをすると、わたしはYをする。もしわたしがYをすると、あなたはZ、あるいはNをすることができる……」といったように、それぞれが選ぶジェスチャーが、相手の次のジェスチャーを制限しつつ、対話的につなっていく。つまり、ダンサーはミュージシャンの音を、ミュージシャンはダンサーの動きを、またそこから同時に生み出される第3の層(映像)を認識し、次の動作が決定される。
楽曲はハンガリーの作曲家コダーイの無伴奏チェロソナタ「Op.8」をベースにした楽曲作品のほか、作曲家・伊藤暁のオリジナル楽曲とライブ演奏での変調を採用している。
こうした要素が絡み合いながら、科学的側面から肉体と音との相互的関係にアプローチした独特のパフォーマンスが生成されていく。