本作は、白と黒のドットが印字されたテープとそれを読み取るデバイス、空中から吊り下げられたカラーLEDのレールを読み取るデバイスとそれが生成している情報構造体を可視化する映像、デバイスの様子と空間の状態に応じて局所的なサウンドを発生させる音響システム、振動子を用いて空間全体からサウンドを発生させる音響システムの4つから構成されている。それぞれのシステムは基本的には自律的に動作しているものの、ゆるやかにネットワーク化されており、全体としてひとつの生命や環境のような圏域を生み出している。
「n項の観測者」という意味を持つタイトルが示唆するとおり、本作ではこのネットワークを外部から俯瞰しようとする視点のほかにも、各システムからボトムアップ的に全体の関係性を捉えようとするアプローチが提示されている。