会場には、鑑賞者を取り囲むように4面の巨大なスクリーンが設置されており、それぞれに改造されたゲームの映像が投影されている。鑑賞者は会場正面のスクリーンの手前に設置されたマウスとキーボードを通じて、ゲーム内にオブジェを創造し、その位置をコントロールできるほか、ゲーム世界における重力もコントロールできる。また、鑑賞者を取り囲むようにして、マウスやキーボードなどのインターフェースに、電動工具が組み合わされた3点のオブジェが設置されており、それらがランダムに作動することで、ゲームに何らかのコマンドが入力され、ゲーム内に登場するキャラクターが縦横無尽に動き出す。このように会場内に設置されたオブジェや端末を軸に、実空間とゲームが同期/非同期を繰り返していくことで、破壊と創造、そして意味と無意味が転倒し、機械と人間、リアルとバーチャルとの境界が融解した独自の世界を作り出している。
ゲーム本作では、アメリカのバルブ・ソフトウェアが開発した、高い改変性で知られる3Dシューティングゲーム「Half-Life 2」のゲームエンジンを利用しており、これに「Garry's Mod」というゲームを改造するためのフリーソフトウェアを使うことで、独特のオブジェやキャラクター、インタラクション、物理法則などを持ったゲーム世界を実現している。会場内に設置された4面の幅7.5メートル×高さ5.7メートルの巨大スクリーンに映し出されるのは、このゲームに登場するSORA、JIMEN、KEMONO、NINGENの4人のキャラクターから見たゲームの世界で、正面に映し出されているのが鑑賞者がコントロールできる唯一のキャラクターであるNINGENからの視点となっている。