会場の中空には、内部を人工の霧で満たされた9つの水槽が宙吊りにされており、霧をスクリーンにオペラ「LIFE」で使用された映像や、本作のために新たに追加された東日本大震災以降の人間と自然との共生についてのビジョンを描いた映像が次々と投影される。また、この映像に呼応するかたちでサウンドが上方から降り注ぎ、刻々と姿を変える映像とともに、同期と分散を繰り返しながら、それらは複雑に交錯する。これらの映像やサウンドは、何十種類にもカテゴライズされ、400以上のシーケンスとなって、それらがアルゴリズミックに組み合わされることで、無限に変化を続ける空間を実現していく。
鑑賞者は、この水槽の下を歩き回ったり寝ころんだりしながら、移ろいゆく光と音の世界に身を委ね、見えるもの/見えないもの、聴こえるもの/聴こえないものとの間にある界面に知覚を開いていく。
新たな共生のビジョンへの感覚を開く
2007年に発表したインスタレーション作品「LIFE - fluid, invisible, inaudibe…」をアップデートしたインスタレーション。