本作は国内に実在する人工閉鎖空間を持つから着想を得ている。その施設では植物の栽培や動物の飼育、そして人間や動植物の生存実験までを、閉鎖空間のなかで実験しており、いわば「ミニ地球」ともいえる存在である。本作では、その目的や必要性を踏まえながら、完全人工空間における人間の姿を描いていく。
太陽も海もない、空気すらも自分たちでつくる隔絶された場所で、家族や生活、私たちの記憶は、どのように変化するのか。それは起こるかもしれない本当の未来を示唆している。地球温暖化や大気・放射能汚染など、人間をとりまく環境が悪化の一途をたどる現在にこそ、考えなければならない視点。それを、フィクションと現実、現在と未来という多層的な時間軸が交錯する演劇の世界観によって、観客にもたらす。
「地球環境と人間、自然と文明」をテーマにした演劇作品。