中空に浮かんだ9つの水槽には霧が充満し、そこに映像が上方から投影されており、また水槽に対応して設置された9セットのスピーカーから発生する音が会場に響き合う。ゆらめく霧を透過して刻々と姿を変える映像と、降り注ぐような音は、同期と分散を繰り返しながら空間内で複雑に交錯する。観客は歩き回ったり寝ころんだりしながら、移ろいゆく光と音の世界に身を委ね、見えるものと見えないもの、聴こえるものと聴こえるものとの間にある界面へと知覚を開くことになる。
水槽と霧
会場には1.2メートル四方、深さ30センチメートルの水槽が9つ、宙吊りにされている。その内部は約100リットルの水で満たされ、水面には超音波霧発生装置によって生成した霧がその厚みを変えながら、絶えず流動している。作品に使用している映像はこの霧をスクリーンに投影され、具象的でありながら抽象的な、そして非物質的でありながら物質的な印象を見る者にもたらす。
映像と音
本作の映像と音は、オリジナルの『LIFE』から切り分けたシーケンスに、新たに制作したものを追加した、それぞれ約400個程度のシーケンスからなる。映像は15種類以上、音は30種類以上にカテゴライズされ、これらがアルゴリズミックに組み合わされることで、無限に変化を続ける空間を実現している。