舞台上に登場する廃品の数々。そして、パフォーマーがそれらとの組み合わせを多数生み出していく。モノに対峙したときの発見や想像力を相手に伝達しようとするパフォーマー。そのやり取りからは、言葉の意味や文脈が次第に抜け落ちていき、コミュニケーションの骨格のみが露呈していく。それはむしろモノを媒介に送受信されている電波のような人と人の見えない繋がりである。
伝えることへの衝動を〈ダンス〉と捉える本作は、振付の方法論を確立させる過程、そこから導かれるパフォーマーのやり取りを舞台上に開示する実験的な作品といえる。舞台で次々と展開するパフォーマー同士のやり取りを前に、観客は、言葉と身体がもつ発信・受信への衝動と、そのおもしろさ、コミュニケーションを成立させるために人と人との間に生まれる不思議な感覚を発見することになる。