ステージ上には日本家屋と電信柱が設置されており、懐古的とはまた異なる日本的な情緒が醸し出されている。そこに現れたダンサーたちが、それぞれの母国語(日本語、中国語、フランス語)で観客に語りかけ、作品が始まる。
虫や鳥の鳴き声、そしてギターの弾き語りが鳴り響き、背景の巨大スクリーンにタイトルの『IRIS』が示唆する〈瞳〉や、ダンサーの振付をモチーフにした映像、さらにはより抽象的な光と影が投影される中、ダンサーたちのパフォーマンスが展開。高い身体能力を誇るダンサーの優美でしなやかなソロパフォーマンスや、多数のダンサーによるダイナミックなパフォーマンスは、多彩な演出と相まって、ファンタスティックで神秘的な雰囲気を放つと同時に、身体の持つ可能性を最大限に提示する。