ステージ上にはスクリーンを兼ねた白い床面が設置され、天井からは照明の役割も果たす直径1メートルほどのバルーンが吊るされている。その中で、小さな翼を付けたダンサーが、逆立ちや片手倒立、跳力を生かしたジャンプなど、非現実的なほどアクロバティックな動きを取り入れた詩的なダンスを繰り広げていく。
その足下には、山口で記録された空や波、木漏れ日などの映像が、また空間全体には、美しいピアノの音色からノイズまで、細かなリズムを刻むサウンドが現れ、それらがダンスと多様な関係を切り結び、融合することで、静謐な空間と時間がステージ上に生まれる。観客はその空間と時間を共有しながら、夢想にふけることとなる。
コラボレーションがもたらす、新しいダンスの風景
サウンドと映像がつくり出す静謐な空間と時間の中で展開する思索としてのダンス作品。