国は衰退し、これから戦争が始まるかもしれないという不穏な空気の中、亡くなってからも家族の前に現れる母の幽霊や、これから生まれてくる子供を持つ若い母親など、一つの家族を中心に対立し、断絶する人々が描かれる。この作品は、チェルフィッチュ「現在地」(2011年)でも音楽を担当したサンガツとのコラボレーションによる「音楽劇」として位置づけられており通常の演劇において各シーンを演出するものとして挿入されるような音楽ではなく、役者一人一人と音楽の相互作用が意図されている。サンガツが役者のキャラクターを理解した上で実験的な楽曲のデザインが行われ、その音を役者が聴くことが演劇の演出の中で求められている。
そう遠くない未来の日本を舞台にした死者と生者の物語
日本と日本語の近未来を描く演劇作品。