会場内の床面には1辺6メートルの正方形のフィールドが設置されており、空間をスキャンするようなラインが投影されている。そこに鑑賞者が足を踏み入れると、フィールドに埋め込まれたセンシング機構が、鑑賞者の位置、重さ、傾き、速度や重力加速度を瞬時に計測/解析し、ラインの歪み、会場を包む音、LED照明の点滅パターンへと変換していく。鑑賞者は、作品空間の中を自由に歩き回ることで、ダイナミックに変容する光と音から、身体への重力の負荷と、それに対抗する反力を感じることができる。
センシング機構
フィールドには、1辺40センチメートルの正方形のパネル225枚が細胞のように敷き詰められており、その内部にはセンシング機構が埋め込まれている。このセンシング機構は独自に開発したもので、フィールド上に存在する物体の質量、位置、傾き、重力加速度などの連続的な変化を高精度で検出することができる。
GPS衛星
本作では、上空遥か彼方を移動するGPS衛星も重要な要素となっており、GPS衛星との間に発生する仮想的な引力も、ラインの歪みなどの空間の変容として表現している。これにより、鑑賞者を含んだインスタレーション自体が地球や人工衛星といった物体のマクロかつ相対的な運動の間に存在していることを強調している。