複雑系の理論によって導き出されたサウンドのテクスチャや、コンポジション、運動、光の明滅などの要素を含んだ音楽構造が13分間に渡って展開される。会場内の足場は高さや形がばらばらな多数の箱で構成されており、それを取り囲むようにLED照明と24個(8個×3層)のスピーカーが配置されている。鑑賞者は、通常の安定した知覚が奪われた状態で、繊細に揺れ動く電子音から突如として現れる轟音までの様々なサウンドが喚起する身体感覚に身を委ねながら、変化と運動にある音楽の新たな次元を体験する。
サウンド
本作でサウンドの運動を制御しているのは、24チャンネルの音声信号を緻密にコントロールできる、Lake Technology社の「Huron(ヒューロン)」と呼ばれるシステムである。このシステムが持つポテンシャルを最大限に引き出すオリジナルのソフトウェアによって、空間上の様々な場所に立ち現れる複雑な音像の生成を可能としている。また、会場を取り囲む柱状のLEDの明滅は、サウンドの音量のデータによって制御している。