本作では、台詞を語ることは一切なく、パントマイムのような動きを取り入れた表情豊かな俳優と人形の姿は、観る者に言葉を越えた感情を伝える。戦争そのものよりも、様々な苦しみを乗り越えようとするひたむきな家族の姿を描いた物語は、家族の偉大さ、人間の尊厳、それらを奪い去る戦争について、改めて考えさせる。戦争によって引き裂かれてしまった家庭の姿を通し、家族の絆やお互いを愛する気持ちを確かめることとなる。
あらすじ
幸せに過ごす若い夫婦。赤ちゃんを授かり、家族で過ごす日々に、突然、戦争が起こります。お父さんは軍隊に召集され、人に銃を向けなければならないことに苦しみ、お母さんは避難所で子どもたちを見失ってしまったことに苦しみ、子どもたちは飢えと両親と離れ離れになったさみしさに苦しみます。そして、思い出すのは幸せだったあの頃のこと……。