作品空間の内部では、さまざまな方向から人工霧がタイミングを変えて放出されており、作品空間の内部は館内外の環境に左右されながら、常に異なる情景へと移り変わっていく。また、作品空間内には超指向性スピーカーを用いた特殊な音響システムが構築されているため、観客は、日常では見ることのできない霧や光の細かな動きを発見しながら、サウンドスケープを体験していく。
ガラス壁に囲まれながらも、日光や雨、風が侵入してくるという、外部(自然環境)と内部(人工環境)が共存する中庭の特徴を活かし、それらが相互に影響し合うことで生成される新たな空間体験を実現している。また2つの中庭は、それぞれ空間の形状や大きさが微妙に異なっており、それに合わせて、人工霧発生装置や音響システムのレイアウトや、制御アルゴリズムを変えているため、それぞれ全く違った表情を見せる。
観客はこの作品の内部では一種の「環境内存在」となって、霧に包まれた中庭を歩きながら、外部と内部、自然と人工とを共有するインターフェースとしての「環境」のあり方を発見することができる。