1974年にE.A.T.の中谷芙二子やディヴィッド・チュードアが構想したプロジェクト「島の目、島の耳(Island Eye Island Ear)」をもとに、全く新しいサウンドスケープがつくりだされている。
約10m四方の床面はすべて鏡張りとなっており、そこに9基のポール状の超指向性スピーカーが3列×3列のグリッド状に設置されている。そして、それぞれが自律的に回転しながら、「音のビーム」を空間内に発生させる。このスピーカーの音源には、山口をはじめとする様々な場所で収録された環境音や、館内の別の場所でリアルタイムに採取されたノイズ音などが用いられており、これらが緻密に構成されたうえで再生されている。
発生した音のビームは、周囲の壁面に当たり、反射することで、「音の面」とでも言うべき複雑なサウンドスケープを空間内に立ち上げており、観客は局所的に発生しては移行/消滅していくサウンドを知覚しながら、外部の自然環境までを取り込んだ音と光の壮大な空間を体感することができる。