体験者はヘッドマウントディスプレイを通して、展示空間内で再生される映画本編(上映時間26分・ループ上映)と、展示空間に配置された数々の記録写真を視聴/閲覧していく。写真の一部には、特殊なマーカーが埋め込まれているものが各面に1個(計9個)含まれており、ヘッドマウントディスプレイ越しに、その写真を見つめると、撮影現場の様子を捉えた映像が再生され始める。全9シーンのこの映像は、360度カメラを用いて撮影現場を記録したもので、体験者は撮影現場にいるかのような体験をすることができる。
熟練した俳優であり、映画監督でもある染谷将太。映画制作において、演技と演出の関係性は、その過程が見えづらいこともあり、これまで出演者や演出した監督への事後的な聞き取りのみで語られることがほとんどであった。本作を通じて、体験者に撮影現場にいるような臨場感を与え、演出風景を映画の制作過程と一体的に体験させることで、映画における演出と演技の関係性を浮き彫りにしていく。