会場中央には、半透明の膜で覆われた立方体状の構造物が設置されており、その内部には女性の彫刻が置かれている。鑑賞者が構造物の傍らにあるルームランナーに搭乗し、歩き始めると、構造物の側面に安藤洋子が演じる女性の映像が徐々に現れ始め、ミヒャエル・ローターによるサウンドが照明とともに会場内を包み始める。鑑賞者の歩行量が増えるにつれて、最初は物憂げだった女性は活発さを増し、会場内を包むサウンドもより明るい曲調へと変化していく。観客の参加によって稼働する本作のシステムを通じ、閉塞した個人の意識が他者の存在によってポジティブな方向へと感化されるという人間の精神が持つ基本的な方向性、そして、鑑賞者自身に内在するエネルギーの存在を実感する。
〈光〉となって、他者の精神と身体を解放する
人間の意識や根源的なエネルギーの発露を表現するインスタレーション。