ポール＝アンドレ・フォルティエ
街並みを背景に30分のダンスを30日間毎日踊り続けるサイトスペシフィックなダンスプロジェクト。60歳を目前に控えたフォルティエが、踊ることの意味を改めて問い直すべくスタートし、ニューキャッスル（イギリス）を皮切りに世界各地で展開している。
毎日、同時刻に決められた場所に現れ、どんな天候であってもダンスを遂行するフォルティエの姿は、日常的な風景を異化させるとともに、異化作用そのものも風景の一部へと変えていく。山口では、YCAMからほど近い道場門前・西門前商店街を舞台に、強い日差しや雨、ときには嵐に晒されながら、プロジェクトを完遂した。
ダンサー／振付家
1948年、カナダ・ケベック州生まれ。演劇と文学の教師を経て、1973年、ジネット・ローラン、エドゥアール・ロック（ラララ・ヒューマン・ステップス）などケベックの著名な振付家を次々と輩出したグループ、ヌーベル・エールに参加。1978年より振付家としてデビュー。1979年に自身のカンパニー、ダンス・シアター・ポール・アンドレ・フォーティエを設立。1981年にはカナダのダンス界における名誉あるジャン A. シャルメ賞を受賞し、『フォルティエ・ダンス・クリレアシオン』と名前を改めた。 フォルティエの発表する作品は、人間関係、人の欠点、タブー、固定観念を鋭く見抜く視点がたちまち高い評価を得る。各国で作品を発表し続け、2004年には初来日。青山ダンスビエンナーレで「Tensions」(カナダ／2001)を紹介し、人間の孤独を風変わりで新鮮な感覚で取り上げ、振付家の成熟度を印象づけ、国内外を巡回。話題を呼んだ。 その後も、6人の若いダンサーのために創作された「Risque」(カナダ／2003年)、映像とエレクトロミュージックを巧みに取り入れた「Lumiere」(カナダ／2004年)を発表。 また、若手の育成にも情熱を注ぎ、ケベック大学で10年間の教授を務めた後、現在は、モントリオールのアートセンター「プラス・デ・ザール」のレジデンシャルアーティストとして創作を続けるともに、ケベック芸術文芸カウンシルの副委員長を務めている。
