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YCAMバイオ・リサーチ[リサーチ・ショーケース]vol.3
終了
2015〜2019年度
近年、急速な発展と同時に一般化が進み、身近になりつつあるバイオテクノロジーの応用可能性を、 芸術表現、教育、コミュニティなど、多様な切り口から模索するプロジェクトです。
バイオ・テクノロジーは、発酵などのかたちで古くから私たちの生活と結びついてきましたが、近年では高度化が進み、農業や医療、エネルギー産業など、幅広い分野で応用が進んでいます。それと同時に、遺伝子の分析や組み換えといった高度なバイオ・テクノロジーを利用するためのコストが急速に低下し、個人が専門的な設備や機材に触れられる施設が世界中に数多く設立されつつあります。
このプロジェクトでは、こうした状況を背景に、YCAMがメディアテクノロジーを駆使して培ってきた、身体や知覚、学びや遊び、暮らしや衣食住にまつわる考察に、バイオテクノロジーを取り入れることで、多様な表現の可能性や価値観を提示すべく活動を展開しています。
contact GonzoとYCAMバイオ・リサーチによる新作インスタレーションの制作と発表、その関連マガジンの発行をしました。また、日本庭園の総合的アーカイヴの構築方法に関するリサーチを開始しました。また、リサーチ・ショーケースという形式で、これらの研究の背景や取り組みを紹介する展示を行いました。
アーティスト集団contact GonzoとYCAMバイオ・リサーチによる新作インスタレーションを発表する展覧会です。「身体はどこから来て、どこへ行くのか」という問いを出発点に、YCAMが近年取り組んでいるバイオテクノロジーの知見を生かし、DNAなどによる遺伝的継承と、物語や伝承などによる文化的継承といったアプローチから、新作インスタレーション作品を制作・発表しました。
現代のテクノロジーを駆使した日本庭園の総合的アーカイヴのための研究開発を行い、将来的により多くの庭園に応用できるようなプロトタイプを提示することを目的としています。2019年は山口市内の常栄寺雪舟庭を研究対象として、環境DNAの解析をはじめとした生態系の調査、庭園の3Dスキャン、環境音のレコーディングに取り組みました。
「身体と遺伝」「森と庭のDNA」「遺伝の解析」というテーマで、2019年にYCAMバイオ・リサーチが関わった展覧会や研究プロジェクトに関連したリサーチの取り組みを展示形式で紹介しました。
トークイベントを軸に、YCAMの研究開発の取り組みを紹介するシンポジウムを開催しました。様々な領域の問題が交錯するバイオテクノロジーをテーマに、国内外の実践者との交流を通じて、バイオラボの役割や、テクノロジーと創造性の関係性、そして公共のアートセンターのさらなる可能性についてディスカッションをおこないました。当日、会場ではゲノム弁当(今回はゲノムの長さや原産国を考慮して制作)の販売もおこないました。
生命倫理の問題も含めて、身近になるバイオテクノロジーの応用可能性について考えるため、集中ワークショップの開催や、書籍の監訳をおこないました。高校の生物教育に携わる先生方が全国から集まる会でもYCAMの取り組みを紹介し、意見交換しました。また、次年度の展覧会に向けたリサーチを開始しました。
第一線で活躍する技術者や研究者を迎え、今後のメディアアート作品の制作に使用されるツールについて紹介し、国内外の参加者とともに学ぶ集中ワークショップ・シリーズ。第3弾となる今回は「パーソナル・バイオテクノロジー」をテーマに開催しました。DNAに関わる技術による生命情報の「読み」「書き」「生命倫理」をテーマに、レクチャーやワークショップを通して、バイオテクノロジーの応用可能性について考えました。
本書は、学生や市民科学者を対象に、合成生物学の基礎と実際の実験を解説する書籍です。DIYバイオを始める手引きにもなっています。バイオデザイン、DNA工学の基礎の解説にはじまり、「バナナの匂いのする大腸菌」や「細菌写真システム」を作るなどの実験を解説しています。重要なテーマである生命倫理に関しても章を設け、これまでの議論や今後の課題について紹介しています。
前年度のリサーチを経て、教育プログラム「森のDNA図鑑」に関して、YCAMが実施する教育プログラムのシリーズ「未来の山口の授業」として展開することを目指して開発を進めて、開催しました。さらに、この教育プログラムを物語の出発点にした三宅唱監督の映画「ワイルドツアー」の制作に参加しました。また、地域の微生物環境や発酵について学ぶことを目的としたキット「米麹のモノリス」を制作しました。
ワークショップ「森のDNA図鑑」では、一般の参加者とともに山口市内の森で生き物のサンプルを採集し、あたらしい図鑑の制作に取り組みました。この図鑑には、参加者が顕微鏡などによる観察とDNA解析(DNAバーコーディング)の情報から生物種を推定した結果を収録しています。自分たちで、ひとつの図鑑をつくることを通じて、自然に対する複眼的な見方を養うことを目的としています。
国内外の大学・研究機関やファブラボなどと連携しながら、バイオテクノロジーの応用の可能性を探り、そのプロセスを紹介する展示を年間6回、様々なテーマで開催しました。 また「瀬戸内国際芸術祭 2016」での展示、オーストラリアの生命科学とアートを扱う研究所 SyimbioticA(シンビオティカ)での滞在リサーチなどを行いました。
「キッチンからはじめるバイオ」というコンセプトのもと、6つのテーマ(「パンと酵母」「発酵とDIY」「森のDNA」「ヒトと共生微生物」「生物とプログラミング」「細胞と遺伝子」)を設けてリサーチに取り組み、そのプロセスを展示形式で紹介しました。当日はスタッフによる展示解説やバイオラボツアー、ミニワークショップを行いました。
瀬戸内国際芸術祭2016の企画として、小豆島の醤の郷+坂手港エリアで展開している「Creator in Residence "ei"(CiR)」プロジェクトに参加し、植物や土壌など島内の様々な所に生息する野生の酵母を採集、培養し、そのプロセスを展示しました。
ゲノム配列が決定済みの生物種だけを食材に使って弁当を開発するプロジェクトです。ライフサイエンス統合データベースセンターなどの研究者や地元の飲食店のシェフと共同で開発を行いました。実際に弁当を食べながら、参加者とともにDNAやゲノムの情報から何がわかるのか、今後どのような活用方法があるのかを考えるきっかけを作っています。
YCAMバイオ・リサーチ・オープンデイ vol.6
細胞と遺伝子
YCAMバイオ・リサーチ・オープンデイ vol.5
生物とプログラミング
YCAMバイオ・リサーチ・オープンデイ vol.4
ヒトと共生微生物
YCAMバイオ・リサーチ・オープンデイ vol.3
森のDNA
YCAMバイオ・リサーチ・オープンデイ vol.2
発酵とDIY
YCAMバイオ・リサーチ・オープンデイ vol.1
パンと酵母
科学やバイオテクノロジーの可能性について身近なテーマから考えるために、アグリ(農)、バイオ、キッチン(食)といった切り口で専門家を招き、オープンなレクチャー・シリーズを展開。また、非専門家のための合成生物学のオンライン講座「Bio Academy: How to Grow (almost) Anything」の受講や、国内外の大学・研究機関の訪問など、基礎的なリサーチを行い、YCAM館内にバイオラボを開設しました。
人間の生活の基本となる「衣食住」の中から「食」に焦点をあてて、「アグリ(農業)」「バイオ(生物/生命)」「キッチン(台所/料理)」の3つのテーマから未来の食のあり方に対して考察を深めるため、専門家を招いてのレクチャー・シリーズ「アグリ・バイオ・キッチン―『食べる』のリテラシー」を開催しました。
運用や安全管理のための準備を経て、YCAM館内にバイオラボを開設し、実験的に運用を開始しました。設置するバイオ機材の例として、設置するバイオ機材の例としては、作業環境を無菌に保つ装置であるクリーンベンチや、DNAを増幅させるPCR装置、滅菌処理を行うためのオートクレーブなどを設置しました。
実施期間 | 2015〜2019年度 |
関連イベント | 14 |
論文 | YCAMにおけるVRとバイオ・リサーチ 技術と芸術を横断するアートセンターYCAMの試み : メディアアートからバイオ・リサーチ |